1 水無月 零

文字数 264文字

私はデビュー以前から

スランプや

文章に行き詰まった時には

必ず筆を置いて

速やかに旅行に出掛ける事に

決めている



そもそも私は

努力という言葉が嫌いで

部屋の机にかじりつき

頭の中をかき回し

想像を絞り出すという気にはなれないのだ

それならばいっそう

外の刺激を受け

その場任せの

インスピレーションが

舞い降りて来るのを

遊びながら

待つ方がよっぽどいい



私の作品を待つ担当者には

ひどく迷惑な話であるが



だから

明日の自分が

何処の国にいて

何をしているのかも

想像がつかない




この日も

書きかけの原稿を

ほっぽり出し

次の瞬間には

愛車のジープに乗って

思いつきの旅に

出掛けた  




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