2 瞳

文字数 336文字

文明というのは

いつの時代も水辺に存在するものだ

誰にも発見されてないという事は

舗装された道路を

いつまでも走っていたら

やがて隣町に出てしまうという結論に至る

その日は川原を走り上流を目指した



激しく揺れる車内で私は考えていた

素人が遺跡の痕跡を発見するなど

それこそ小説の話だ



ジープは思うように前に進まず

ひとっこ一人いない大自然の中

無性に心細くなってきた



空腹を意識し始め

ガソリンの残量も不安を煽る

行きは勿論、帰り道すら分からない







私は一度ジープを止め

気分転換に車を降りた

残り最後の一服をし

しかめっ面で空を見上げる



森は開け、恐ろしく濃い青空が

何処までも続く

綿雲の位置が低くなっているのが

はっきり分かった




「ここまでかな」

帰るルートを頭で模索し始めた時

川原をゆっくり歩いてくる足音が耳に入った
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