第8話 十人十色

文字数 8,333文字


 教室に入ると窓がガタガタと揺れている。今日は一日中、強風だったはず。電車は遅れているのか、いつもより教室の人数は少なく感じた。僕は自分の席に行きリュックを下ろす。まだ彼は来ていないようだ。夏樹の席を見たが空いていた。僕は昨日のことを振り返る。昨日、探偵部に夏樹が入った。驚いた、まさか入ってくれるとは。でもそれよりも驚いたのは、小林さんと夏樹が姉弟だったということだ。同じ学年に姉弟がいることは珍しい。だが…まあ、直接聞いてみればいいことだ。教科書をカバンから取り出していると、教室の後方の扉から夏樹が入ってきた。席に着いたところを見て、彼の席に近づく。
「おはよう!」
「ああ、おはよう」と夏樹はいつものテンションで返事をし、「何か用か、トーシロー?」
とこちらを見上げる。
「あのさ、少し聞きたいことがあるんだけどいい?」
「ああ。俺が分かることなら」と夏樹は頷く。
僕は昨日の夜に気が付いたあることについて訊いた。夏樹はその質問に対し、少し黙った後、口を開いた。
「悪いが姉貴に聞いてくれ。それは俺だけの話じゃないからな」
夏樹は質問に対してただそれだけしか言わなかった。ただその返答から僕の想像は現実味を増したと思う。夏樹が断る以上、小林さんに聞くしかない。


 小林さんと会うのは放課後になった。今日の放課後、部室に依頼人が来るとのグループLINEに2限と3限の間の休みに連絡があった。来れる人は来て欲しいとのことだが、早苗さんはいけないと連絡があり夏樹は明日からテスト週間だから借りていた本を図書館に返したい、という理由として怪しい言い訳を直接言われた。だから今日来るのは二人だ。それは僕にとっては好都合だった。依頼の後なら話をする機会もあるだろう。あの事について訊こう、心に決め部室の扉を開ける。
 部室には既に小林さんは先に来ていた。それと依頼人らしき女子生徒が小林さんの向かいに座っていた。ショートヘアで毛先がクルっとしており、肌は少し焼けている。活発そうな雰囲気だが表情は少し弱弱しかった。


「あ、砂川君」と小林さんはこちらに気が付くと気さくに笑う。
「ごめんね、急に呼び出しちゃって」
「いいですよ。こちらが…」と僕は男子生徒に軽い会釈をする。
「そう、依頼人。今から話を聞くところだったの」
僕は荷物を椅子の横に置き、パイプ椅子に腰かけた。僕が座ったのと同時に、隣に座る小林さんが発した。
「ではまずお名前と依頼内容を教えてください」
「1年の足立です。私、サッカー部のマネージャーをしています。それでその… 依頼は同じ部活のある生徒のことで…」
依頼人は俯く。その態度は未だ打ち明ける決心がつかないように見えた。「大丈夫ですよ。守秘義務は必ず守ります。ですから心配せずに話してください」
「依頼の内容、笑わないで聞いてくれますか?」
「はい、もちろんです」僕たちは同時に肯く。
「ありがとう」と依頼人は何かを決心したような瞳で僕たちを見る。「依頼はサッカー部のある生徒が何かを隠している気がして。それでそのことを探って欲しいです」
「なるほど。その生徒とあなたとの関係は?」
「彼とは1カ月前から付き合ってます」依頼人は顔を赤らめて目を伏せる。
「つまり彼氏の言動に不信感があるので調べて欲しい訳ですね」と小林さんはサラリと言う。
「ええ、まあ。最近、彼は私のことを嫌っている気がして」
「小林さん」と僕は小林さんに耳打ちする。
「これって彼氏の浮気調査ですよね。断りましょう、探偵部の専門外ですよ」と僕。正直、そういうのは本人たちだけでやって欲しい。
「まあ待って。判断するのは内容を聞いてからでも遅くないでしょ」と小声で返された。小林さんが言うならしょうがない。
「具体的に教えていただけますか? 足立さんが不信感を抱いたきっかけを教えてください」と小林さんは優しい口調で語りかける。
「はい。きっかけはある昼休みです。私と彼は別の教室で、その日私は係の仕事で彼の教室に行く用事がありました。教室に行くと彼は男女の5人でテーブルを囲んでいました。私は用を済ませて、彼の近くに見に行くと大富豪をやっていました。そのグループの一人の女子生徒が私のことに気が付いて私も参加しないかと言ったんです。私は大富豪をあまりやったことが無かったので断わりました。すると彼女はじゃあUNOをやろうと提案します。UNOなら私もできますから、私も輪の中に入れてもらいました。でも私が参加すると急に彼が立ち上がって抜けると言いました。UNOは得意じゃないからと言ってましたが、私のことを避けたんだと思います」
「お二人の関係が知られたくなかった可能性は?」小林さんが訊くと、依頼人は首を横に振った。
「いいえ。そのグループにはサッカー部もいて。私を誘ってくれたのも私と彼が付き合っているのを知っているからで…。それに私たちが付き合っているのは隠そうだなんて言われたことは無いです」
「なるほど。他におかしいと思った出来事はありますか?」
「はい。二日前が彼の誕生日だったんです。それで私はサプライズパーティーをしようと考えて。サッカー部の何人かと練習後に焼肉に行くことにしました。そこでプレゼントを渡す手筈で。でも彼を誘ったんですけど、体調が悪い、今日は帰って休みたいと言って。来てくれませんでした。でもそれは嘘なんです」依頼人の声が少し震えている。瞳からはゆとりを感じない。
「どういうことです?」と小林さん。
「私の友達がその日に彼がイオンにいるのを見たんです。友達が言うには調子が悪そうには見えなかったと」
「でもそれは体調が良くなった可能性もありますよね」と僕は反論する。
「そうです。私もそう思っていました、友達の話を聞くまでは。その友達は彼を見つけると彼と話しました。そしてそれとなく訊きました、私と一緒じゃないのか?って。私、その友達にサプライズのことを話していたので。そしたら彼、『今日は足立、用事があるからって』いったんです。それに自分と会ったことも秘密にして欲しいって」
「確かにそれは怪しいですね」怪しいと言うか、もう決定的な気がする。
「彼が私のことを避けているのは間違いないです。でもなんで彼が避けるのか、分からなくて…」
「避けられるような理由は全く思いつかないですか?」
「はい…」依頼人は弱弱しく頷いた。
「肉が好きじゃない可能性は?」
「それはないです。彼、魚より肉派ですし食欲も普通程度にあります」
部室に一瞬の静寂が訪れた。小林さんは目をつぶり顎に手を当て考えこんでいる。
「今更なんですけど、彼に直接聞くのはダメなんですか?」と僕。彼氏が素直に答える可能性は低いがやる価値は十分にあるはずだ。僕の問いに依頼人は首を横に振る。
「私も昨日聞きました。最近、私のことを避けてないかって。でも彼はそんなことは無い、の一点張りで… 私がしつこく聞いたせいで口論になって… それでまだ和解できていません」
「少し彼について、質問してもいいですか?」小林さんはおもむろに目を開け微笑む。
「はい」
「サッカー部での彼はどうなんですか? プレーはうまいですか?」
「質問の意図が分かりませんが… はい、うまい方だと思います。ああでも本番に強いというか、紅白戦だとミスが多いですけど本番だとほとんどミスしません」
「なるほど。では彼の私服のセンスは足立さんから見てどうです? 彼は私服だとどんな服着てますか?」
「色は青と白、黒が多いですね。その3色が好きで他は着ないって言ってました。服装もシンプルで無地の服が多いです。あの、これって何か意味のある質問何ですか?」
僕も依頼人と同様に質問の意図を掴みかねたが、何かしらの意味があるのだろう。
「はい、非常に重要です。彼を理解するために。最後にもう一つ、彼は普段から炭酸を飲みます?」
「ええ、飲んでいる姿を何度か見たことがあります」
小林さんは少し満足した表情だった。
「ありがとうございます。私からの質問は以上です。砂川君は何か質問ある?」
小林さんはこちらを見て微笑む。
「ないです。小林さん、依頼を受けるつもりですか?」と僕は依頼人には聞こえないよう注意して耳打ちする。正直なところ、依頼の内容を聞いても乗る気はしなかった。修羅場になって破局する光景がありありと浮かぶ。
「そうだけど… もし嫌なら私だけでやるよ」小林さんはこちらを見る。その瞳には怒りや失望の色は無かった。濁りがなく澄んで無垢な瞳だった。
「いいえ、もちろん僕も手伝います」小林さんのことだから僕には見えていない事実があるのかもしれない。
「これから彼に会いたいと思っているのですが、連絡してもらえますか」小林さんは依頼人に言う。依頼人は一瞬眉間にしわを寄せ戸惑った表情をうかがわせた。
「これからですか? ちょっと待ってください。電話してきます」そう言うと依頼人は部室を出ていった。小林さんはこちらを見る。
「砂川君は今回みたいな依頼は嫌い?」
「あんまり好きではないです。浮気調査とか素行調査とかは信頼の問題だと思うんですよ。相手のことを信頼できないから依頼する訳ですよね。ならそもそも信頼できない相手と付き合わなければいいのに、と思うんです」
重い考えだと言うことは分かっている、でも相手への信頼なくして友人にも恋人にもなれない、と思う。
そう考えていると戸口から依頼人がひょっこり顔を覗かせた。
「お待たせしました。彼、今図書館にいるみたいで5分後に食堂で会うことになりました。お二人のことも友達として伝えておいたので同席できます」
「あの。出来れば私たちと彼とだけで話したいのですが。プライベートの内容なので」
依頼人は困惑した表情を見せたが、「分かりました。私は急用で来られなかったことにしてください」と言う。
「ありがとうございます。明日必ず報告します」と小林さんが言う。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
依頼人は頭を下げ、そして荷物をまとめ部室から出て行った。
「さてと、私たちも行きますか」
「小林さんには今回の件、おおよその見当はもうついているんですか?」「まあ、仮説はあるよ、検証する必要もあるけど。砂川君も来てくれる?」「はい、もちろんです」
「ありがとね」
僕たちは荷物をまとめ部室を後にした。


 集合時間になると、目の前に男子生徒がやってきた。背は175㎝ぐらいだろうか。焼けた肌、がっちりとした体躯から運動部に所属していることが一目でわかる。
「すいませんが、足立のお友達ですか?」男子生徒はそう尋ねる。
「はい、そうです。初めまして、小林です」「砂川です」
「こちらこそ初めまして。阿川です」と依頼人の彼氏、阿川も頭を下げる。
「あの、足立は?」阿川が少し戸惑った口調で訊いたので、彼女が急用で来られなくなったと伝えた。
「阿川さん、炭酸いけます? これそこの自販機で買ったコーラなんですけど、よかったらどうぞ」と小林さんは紙コップを差し出した。食堂の壁際の自販機で先ほど買ったものだ。最近はペットボトルの自販機が主流であり、紙コップで提供される自販機は校内だと食堂にしかない。
「ありがとう」と阿川は紙コップを右手で受け取り椅子に座る。僕は少し眉をひそめた。
「本当は阿川さんと話がしたかったんです」
「自分と?」と阿川。
「はい。それはですね…」
小林さんは足立が相談に来たことを阿川に告げた。
「阿川さん、足立さんに本当のことを言ってしまったらどうです」と小林さんは言う。その言葉を聞いて、阿川は硬直する。
「何のことですか?」と阿川は冷静さを取り戻して言った。
「あなたの秘密についてですよ。足立さんには言ってないんですよね、あなたの目のこと」
「………」阿川は黙り込んだ。
「いずれにせよ、あなたが黙ったままだと足立さんの誤解は解けないままです」
「足立には…、悪いことをしたと思っている。だが打ち明けたら足立は俺のことをどう思う?」と阿川はゆっくりと言う。
「私が足立さんなら決して失望しません。むしろ打ち明けてくれた方が嬉しいです。だってそれは私を信頼してくれているってことですから」小林さんは柔らかい微笑を浮かべる。
「………」
「足立さんのことが好きなんですよね。なら彼女のことを信じたらどうですか」
「もしそれで軽蔑されたら?」と小林さんの言葉に阿川は反撃する。
「その時はその時です。分かり合えないなら別れるしかないですね」
「他人事だな」阿川はニヒルに笑う。
「ええ、まあ。他人事ですから。でも友情や愛情は脆いからこそ尊いんじゃありません? 簡単に崩れてしまう関係だからこそ、つながれたとき嬉しいし心が温かくなるんです。もし利害関係だけのガチガチの関係ならそこに心の入り込む隙間はないと思います」
小林さんは言い切った後、頬を少し赤らめた。
「すいません、言い過ぎました」
「もし俺が黙っていたら、君たちは足立に俺の秘密を言うのか」阿川がゆっくりと口を開いた。
「いいえ。他人に知られたくない秘密をばらしたりはしません。阿川さんが黙るのなら、私たちも沈黙します」
「いいのか、足立に頼まれたんだろ」
「彼女には力不足だったと伝えます。阿川さんが言いたくない気持ちも少しは分かりますから。親しいからこそ伝えにくいこともあります」
その言葉、口調には何か説得力があるように感じた。阿川は少し黙り込む。「分かった、伝えるよ」
「そうですか、それは良かったです」小林さんは微笑む。
阿川は椅子から立ち上がる。
「お二人の幸せを願ってます。ああ、その紙コップ捨てておきますから」「ありがと。ああ、次に会う時はメロンソーダじゃなくてコーラで頼むよ」「いつ分かりました?」
「飲んだ時にね」そう言って阿川は食堂から去った。机には阿川が先ほどまで飲んでいたメロンソーダの紙コップだけが残った。


「よ~し、これで一件落着だね」
「でもまさか、よく気が付きましたね。どうして分かったんですか?」
食堂に来るまでに小林さんから推理を聞いた。阿川は先天性色覚異常の可能性が高いと言うのが小林さんの結論だった。
先天性色覚異常 ― 生まれつき持っている遺伝子の欠損や異常により、色を認識する細胞の機能が下がり、正常色覚者の見ている色が分からなかったり、見分けにくくなったりしている状態。とサイトに載っていた。驚いたのは発症の割合だ。男性は5%(20人に1人)、女性は0.2%(500人に1人)と書かれていた。
 小林さんの仮説が正しかったことは、阿川がコーラとメロンソーダの見分けがつかなかったことで証明された。阿川は緑色のメロンソーダをコーラと言われて渡されても不審に思わずに受け取っていた。
「阿川君が足立さんを避けていないと仮定すると、阿川君がした行動は、トランプはしたのにUNOはしなかったことと焼肉に行かなかったことになる。そこで思ったんだ。阿川君は特定の色の区別が苦手なのかなって。トランプはダイヤとかハートとかのマークでカードが分かるけど、UNOだと色の見分けが苦手だと何のカードなのか分からないよね。阿川君がUNOは苦手と言っていたのはそのままの意味じゃないかって思ったの。焼肉に行かなかったのも肉の焼き加減が分からないと考えれば納得いく。以上から阿川君が先天性色覚異常で本人はそれを隠そうとしているかなってね」
「サッカー部での阿川の活躍を聞いたのは何故なんです?」
「それはまあ、何となくなんだけど。仮説があっているなら練習のとき支障が出ているかもって思ったの。練習でたまにビブスを着るでしょ、敵味方の区別がつくように。でも、もし特定の色の区別がつきにくいなら結構なハンデかなってね。案の定、阿川君は紅白戦ではミスが多いけど本番に強いタイプだった。多分紅白戦だと敵味方の区別がビブスの色しかないからミスが多いんだろうね、一方で他校との試合になるとユニフォームが違うから区別がつく。本来の実力が出せるから傍から見ると本番に強いタイプに見えるんだよ」
小林さんは一息つくと立ち上がる。
「じゃあ、今回の事件は無事解決と言うことで。砂川君、今日はありがとね。私、部室の鍵を返してもう帰ろうと思ってるけど、どうする? まだ部室使うなら鍵渡すけど」
「僕も帰るつもりです」
「了解。なら返しておくね」
「あの、一つ質問いいですか?」


 僕と小林さんは職員室に向かって廊下を並んで歩いている。
「それで質問って何?」小林さんは微笑む。
「あの… 言いたくなかったら聞き捨ててください。夏樹と小林さんは義理の姉弟ですか?」
「どうしてそう思うの?」不思議そうな顔でこちらを覗く。
「理由は些細な事です。二人とも名前に季節が付いているじゃないですか。それぞれ夏と秋。それで名前の季節が生まれた時期の季節だったと考えたんです。夏に生まれたから夏を入れるみたいな感じで。でもそうすると逆になるんです。夏樹が兄で、小林さんが妹なら順番が合いますけど、実際はその逆で…。もしかして片方が養子か連れ子だったのかなって。すいません、やっぱりこんなこと聞くのは失礼ですよね。忘れてください」
「う~ん、面白い推理だね。でも残念、私とナツは正真正銘の姉弟だよ」「じゃあどういうことですか?」
「それはね、簡単。私が一度、留年したから」
「ええっ」
「私、本当はみんなより一つ上なんだ。本当は今2年生をやってないといけないんだけど、出席日数が足りなくてね。前にいた学校で留年したの」
小林さんは去年まで神奈川の高校に通っていたと話す。神奈川県相模原市のJ高校とのことだ。J高校、どこかで…。
「どうして… ああやっぱりいいです」聞くのは腰が引ける。僕は目線を下げて床を見る。
「いいよ、私に遠慮しなくても。もう終わったことだし。砂川君も気になるよね。私、半年ぐらい前にメンタルを病んじゃってさ。不登校になったの。それでずっと家に引きこもってたら出席日数が足りなくなってたんだよね」
僕はなんて返事をすべきか分からなかった。
「あっ、でもこの学校にはちゃんと試験受けて入ったからね。ずるはしてないよ」と小林さんは微笑む。
 その微笑は優しく心を掴まれそうな包容力があった。過去に何が起きたのか一瞬気になったが、すぐに聞く気は失せた。僕が好きなのは今、目の前にいる小林さんだ。過去は関係ない。そう思った。
今はこうして一緒に居られるだけで幸せだと感じている。


 翌日、足立からの連絡を聞いた。僕らと会った後、阿川は足立に秘密を打ち明けた。
 足立の話では、阿川は小学生の図工の時、絵の色使いを馬鹿にされて以降、先天性色覚異常を秘密にするようになった。でも馬鹿にされる以上に同情されるのが嫌だったらしい。人より不自由だからと言って不幸だと決めつけられるのが嫌いだったと阿川は語った。
足立と阿川は無事和解できた。二人のこれからに幸あらんことを願うばかりである。





あとがき
お読みいただきありがとうございます。
今回のテーマは”当たり前は存在しない”です。モノの見え方は人によって異なる、このことを私たちは忘れがちです。先天性色覚異常は外見から判断できなく、また本人も他者に指摘されて初めて気が付くことも多いです。私が重要だと思うのは、これは病気ではなく個性であること、そして安易に不幸のレッテルを貼ってはいけないと言うことです。


不自由である事と不幸である事はイコールじゃない。
哀れに思われるいわれはないよ!
(アルフォンス・エルリック)
「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第12巻第47話「戦場の少女」より


作中で、千秋が『友情や愛情は脆いからこそ尊いんじゃありません? 簡単に崩れてしまう関係だからこそ、つながれたとき嬉しいし心が温かくなるんです』と言っています。友情や愛情は不確かで脆いです。いつでも破棄できますし、相手が自分のことをどう思っているかなんてわからないです。でもだからこそ尊いものなんじゃないかなと思ったので書きました。

 今作で千秋と夏樹の一つの疑問が解けたのは良かったです。皆さんは気が付きましたか? 皆さんの中には設定ミスだろと思った勘のいいガキ…じゃなくて勘のいい読者もいたかもしれません。もちろん、設定ミスではないですよ、ハハハ…。千秋の過去についてはまたおいおい。
今作はパパっと書いたので、読みにくい箇所、誤字・脱字があるかもしれません。私も見つけ次第修正しますが、皆さんも発見しましたらご指摘していただけると幸いです(TwitterのDMとかリプライとかに書いてもらえば見ます)。

改めて最後までお読みいただきありがとうございました。
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登場人物紹介

小林 千秋

探偵部 部長

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