リヴ
「……深刻な顔ね、リディア。どうかした?
先刻、リディアのご実家から荷物が届いていたけど……」
リヴ
「あら? それ……短剣?
ご実家からの荷物ってそれ? 護身用かしら」
リディア
「えっ!? いえ……。
……そうね。そうみたい」
リヴ
「……リディア、大丈夫?
なんだか本当に元気がなさそうよ……?」
リディア
「いいえ、何でもないの。
ところで、リヴ宛ての荷物もあったわね。またご実家から林檎?」
リディア
「リヴのご実家はどうしていつも林檎を送ってくるの?
しかも大量に……」
リヴ
「え? たぶん私が好きだと言ったから、だと思うけど。
量については……色々と行き過ぎたところのある人だから……」
リディア
「でも娘の好物をわざわざ送ってくれるなんて、いいご両親じゃない」
リディア
「荷物といえば、千影のところにも定期的に配達があるわよね」
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琴子
「……すみません、生徒会のお仕事中でしたか?」
千影
「はい、2人の言う通りです。
……あ、もしかして私宛ての届け物でしょうか」
ローズ
「……リヴもそうだけど、千影宛てにも頻繁に配達があるわよね。
やっぱりご実家から、食べ物の差し入れ?」
千影
「いえ。これは実家ではなく、知人の陰陽師からの届け物なんです。
中身は、香です」
琴子
「香……お香、ですか?
…………って、えっ? 陰陽――?」
千影
「はい。香炉に入れて部屋で燻らせたり、制服にたきしめたり……」
千影
「はい! 実は最近は、袋に入れて首から下げたりもしています。
常に薫りを身にまとっているようにと、何故か知人からきつく言われていまして」
ローズ
「そういえば、千影と話しているとたまに不思議な匂いがするわね。
香水かと思っていたけど……」
琴子
「言われてみればそうですね。
雅な薫りがします」
リヴ
「上品で良い香りよね。こう……心が落ち着くというか」
千影
「ありがとうございます!
あっ、よろしければ私の伏籠で皆さんの制服にも香をたきしめられますよ?」
琴子
「……わ、私は遠慮します。
風紀委員の仕事に差し支えそうですので」
リヴ
「そ、そういえば、私達の宿泊棟だと他に、ジュリエットのところにもよく荷物が届くわよね?
あれもご実家からなのかしら」
琴子
「ああ、彼女宛ても多いですね。
でも差出人は個人ではなかった気がしますわ」
千影
「そうなんですか。ローズさんは何かご存じですか?」
ローズ
「ああ、あれ? 開封しているところを見たことがあるけど、銃の弾丸とか入っていたわよ。
……銀製の武器って、人間の世界では普通なのかしら」
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