第1話

文字数 1,070文字

「ふうか姫、お待ちください。まこるん王国の姫が王宮内を走り回ってはいけません。」
今日のふうかのお手伝い役は犬さん。さっきのことを一番にママとパパに話したいのに、お城の中を走っちゃダメって怒られちゃうの。だから、怒られる前に走っちゃえって思ったら犬さんが追いかけてきた!
「夢の力よ!力を頂戴!」
「姫!使ってはいけません。」
後ろから犬さんが捕まえてきた。皆の夢の力で飛ぼうと思ったのに。ふうかは犬さんにそのままふんわりお姫様抱っこをしてもらう。
「王様と王女様のところまでお連れします。」
犬さんはすたすた歩いて、キラキラのママとパパのお部屋をコンコンって叩いた。
「王様、王女様。ふうか姫をお連れしました。」
「入りなさい。」
中から開いたドアからママとパパが見えた。
「ママ、パパ!」
大きいイスに座っているママとパパのところに行きたくて、犬さんの腕からジャンプ!飛び降りてママとパパにぎゅーする。
「ママ、パパ聞いて。今日もふうかは男の子を助けたの!とっても怖い夢を見てたんだよ。男の子がヒーローでね、それでね、悪い人に捕まっちゃってたの。それをふうかが助けてあげたの!すごいでしょ!すごいでしょ!!」
「ふうか、よく頑張ったな。」
「偉いね。ふうか。」
ママもパパもほめてくれて、嬉しくて。幼いながらこんな幸せな日々が続くと思っていたんだ。

今は2040年。小学五年生になった私は塾に通っている。今の時代、中学校から私立に行く人がほとんどの時代だ。公立の中学校はどんどん無くなっていって、今じゃ一つの県に一個しかない。その学校は荒れていて、そこに通えばヤンキーになるだとか、不良ばっかりで毎日警察が来てるだとか、いろいろと言われている。だから皆必死になって中学受験をするんだ。
「天川。荷物をつめ終わったら面談室に来い。」
夜の九時。授業後。先生からの呼び出し。この条件が揃えば、もうこれしかないでしょ!!
「愛の告白ですか!?」
「なわけあるか~!!」
きゃ~こわ~い!先生は呆れたような顔をして、私の隣に目を向けた。
「白浜、お前は何で俺が天川を面談室に呼ぶか分かるか?」
「だいたいなら分かります。」
先生が話しかけたのは私の親友の佳凛ちゃん。白浜佳凛。長い髪を降ろして、顔も可愛くて、しかもしかも優等生でしっかり者!先生にも信頼されている、そして何より優しい!自慢の親友。マジ最高!その佳凛ちゃんが少しだけ表情を曇らせていた。なんか嫌な予感がした。正直、嫌な予感しかなかった。
「そうか、分かるか。なら、白浜も一緒に面談室に来い。」
先生はそう言い残すと教室を出て行った。
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登場人物紹介

天川ふうか

夢の国でふうか姫としてお仕事してます!!

中学受験のために塾で頑張ってます!勉強はへっぽこだけど笑

白浜佳凛

ふうかの親友です。

しっかり者で頭もまあそこそこ……笑(いや!めっちゃいいです!Byふわ)

国本陽翔

ふうかのクラスメイトだ。

勉強は佳凛には及ばないけど、ふうかよりはいいだろ。(こんな感じだけど根は優しいよね!Byふわ)

港山拓也

天川ちゃんのクラスメイトで~す!

皆にチャラいって言われるけど、そんなことないよ~?ところでそこの君!可愛いね。

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