第14話
文字数 1,089文字
「はい。」
先生の澄んだ声が響く。処分?何のことか分からなくて戸惑いを隠せない。先生が処分を受ける?何で?何の処分?
「マ……ママ?塾長?どういうこと?何が?何の?何があって?」
「質問攻めにしないで。当たり前でしょ?先生のせいでふうかは自殺をしようとしたのよ。処分を受けて当然でしょ?」
ママは毅然として言い張る。でも、表情は少し曇っていた。当然かもしれない。でも、先生は悪くない。結局は自分が嫌になって逃げだした。先生は関係ない。先生が処分を受ける理由はない。
「わ……私は……先生は…。」
「ふうか!やめなさい!」
ママに止められた。振り切って話を続けても良かった。だけど、言葉は続かなかった。自分で守らなきゃいけない人が目の前にいるのに、自分の口からは何も出てこない。ただただ涙が溢れるだけだった。
「白井先生には一週間自宅謹慎してもらいます。その後、推薦させていただくことになりました。その…公立の中学に……。」
「え……。」
ショックだった。先生があの公立中学に!?問題児しかいないあそこの先生なんて、大変に決まっている。
「でも、教員免許を持っていません。教員免許が無ければ、公立では働けません。」
冷静に切り返せる先生の様子からして、こうなることは想像していたのかもしれない。先生は私とお別れするつもりなんだ。
「そうですね。ですから、今から教員免許を取るために勉強してください。取れるまでは教員補助者として働いてもらいます。」
苦しそうに先生の顔がゆがんだ。さっきの話からして、教員免許を取ることが一番の苦痛なんだ。やめて!やめて!
「先生は、教えるのがお上手だと聞きました。そんな先生に教師を辞めてほしくないです。」
ママがはっきり言った。でも、私は自分の気持ちの整理がついていなかった。ママと塾長が処分を決めたのに、それでも先生を辞めてほしくないなんて自分勝手だ。それにママは知らない。先生が教育免許を取らない理由を。
「ママ!それなら、先生の処分を取り消せば……。」
「ふうかさん、ありがとう。でもいいんだ。」
先生は私の方を向かずに言った。その目には悲しさと絶望が映り、一滴の涙が零れた。それでも先生は、塾長の目を見てしっかり言った。
「塾長、ぜひ公立中学校に推薦してください。」
それから二週間後。あの後私は、自分が責められるんじゃないかって思った。白井先生は人気者だったから、余計そう思ってしまったのかもしれない。だから学校にも塾にも行けなかった。このまま引きこもってしまうんじゃないか、と本気で思った。そんなある日、いきなり家に国本君と佳凛ちゃん、それに国本君の大親友の港山君が来たんだ。
先生の澄んだ声が響く。処分?何のことか分からなくて戸惑いを隠せない。先生が処分を受ける?何で?何の処分?
「マ……ママ?塾長?どういうこと?何が?何の?何があって?」
「質問攻めにしないで。当たり前でしょ?先生のせいでふうかは自殺をしようとしたのよ。処分を受けて当然でしょ?」
ママは毅然として言い張る。でも、表情は少し曇っていた。当然かもしれない。でも、先生は悪くない。結局は自分が嫌になって逃げだした。先生は関係ない。先生が処分を受ける理由はない。
「わ……私は……先生は…。」
「ふうか!やめなさい!」
ママに止められた。振り切って話を続けても良かった。だけど、言葉は続かなかった。自分で守らなきゃいけない人が目の前にいるのに、自分の口からは何も出てこない。ただただ涙が溢れるだけだった。
「白井先生には一週間自宅謹慎してもらいます。その後、推薦させていただくことになりました。その…公立の中学に……。」
「え……。」
ショックだった。先生があの公立中学に!?問題児しかいないあそこの先生なんて、大変に決まっている。
「でも、教員免許を持っていません。教員免許が無ければ、公立では働けません。」
冷静に切り返せる先生の様子からして、こうなることは想像していたのかもしれない。先生は私とお別れするつもりなんだ。
「そうですね。ですから、今から教員免許を取るために勉強してください。取れるまでは教員補助者として働いてもらいます。」
苦しそうに先生の顔がゆがんだ。さっきの話からして、教員免許を取ることが一番の苦痛なんだ。やめて!やめて!
「先生は、教えるのがお上手だと聞きました。そんな先生に教師を辞めてほしくないです。」
ママがはっきり言った。でも、私は自分の気持ちの整理がついていなかった。ママと塾長が処分を決めたのに、それでも先生を辞めてほしくないなんて自分勝手だ。それにママは知らない。先生が教育免許を取らない理由を。
「ママ!それなら、先生の処分を取り消せば……。」
「ふうかさん、ありがとう。でもいいんだ。」
先生は私の方を向かずに言った。その目には悲しさと絶望が映り、一滴の涙が零れた。それでも先生は、塾長の目を見てしっかり言った。
「塾長、ぜひ公立中学校に推薦してください。」
それから二週間後。あの後私は、自分が責められるんじゃないかって思った。白井先生は人気者だったから、余計そう思ってしまったのかもしれない。だから学校にも塾にも行けなかった。このまま引きこもってしまうんじゃないか、と本気で思った。そんなある日、いきなり家に国本君と佳凛ちゃん、それに国本君の大親友の港山君が来たんだ。