第29話
文字数 1,055文字
鼓動が早まった。いつもと変わらないのに、二人きりという言葉が頭から離れない。そのせいで体が熱くなり、ドキドキ音がしていた心臓が、今はバクバクと鳴っている。周りに聞こえちゃうよ!
「あ、あの、ずっと言おうと思ってたんだけど、天川がす……。」
「す?」
国本君は顔が真っ赤だ。何を言うつもりなの?
「す、じゃなくてつ!次の授業っていつだっけ?」
「え?次?明日じゃない?私が何?」
え?状況飲み込めないんですけど。これ大丈夫?
「な、な、なんでもない。じゃあな。」
国本君は勢いよく自転車にまたがると、慌てて走り出す。でも、慌てすぎて途中でふらっとし、転びかけた。抜群の運動神経で持ち直した国本君だけど、怪我してないかな?
「国本君!大丈夫?」
「いってぇ。」
駆け寄った私は国本君の膝に目を落とす。
「あ!」
国本君の膝から血が出ていたのだ。多分、持ち直した時にペダルで足を擦りむいたんだ。
「ちょっと待って。」
私はカバンを地面に降ろすとポーチを取り出す。そこからバンドエイドを取って国本君に渡した。
「いや、大丈夫だ、このぐらい。」
「遠慮しないで。」
それでも国本君は受け取ってくれかったから、私はバンドエイドを無理矢理、国本君の膝に貼り付けた。
「よし!完璧!」
「あ、ありがと。」
私はしゃがんだまま、国本君と目線を合わせようとして上を向く。いきなり振り向いた私に驚いたような国本君に、私は笑いかけた。大丈夫。きっとすぐ直るよって気持ちを込めて笑いかけたの。その時、国本君が何かをこそっとつぶやいた。
「ん?」
私が聞き返すと、国本君はさっきと同じぐらい顔を真っ赤にした。
「なんでもない。ありがとな。」
早口でそれだけ言うと、国本君は自転車で走り去ってしまった。
「可愛すぎるだろ。」自転車をこぎながら言う国本君の声が、私に届くことはなかった。
次の日。塾に向かう途中で、佳凛ちゃんがいきなり「年越しのことなんだけど……。」と言ってきた。
「ふうかのところって今年もおばあちゃんの家に帰るの?」
「今年は受験だから帰れないよ。」
私がしょんぼりするのと反対に、佳凛ちゃんは嬉しそうに言った。
「なら、年越しの時、一二月三十一日の夜にみんなで最後の追い込み&年越しパーティをしましょうよ!」
私の目の前がぱっとあかるくなった。みんなで年越しパーティ!!そんな楽しいことってないよね!?
「やりたい!!パーティだ!」
私が満面の笑みで言うと、佳凛ちゃんも小さく笑ってくれた。
「今日の塾で二人にも聞こ!私は港山君に聞いとくから、ふうかが国本君に聞いといてくれる?」
「うん。」
「あ、あの、ずっと言おうと思ってたんだけど、天川がす……。」
「す?」
国本君は顔が真っ赤だ。何を言うつもりなの?
「す、じゃなくてつ!次の授業っていつだっけ?」
「え?次?明日じゃない?私が何?」
え?状況飲み込めないんですけど。これ大丈夫?
「な、な、なんでもない。じゃあな。」
国本君は勢いよく自転車にまたがると、慌てて走り出す。でも、慌てすぎて途中でふらっとし、転びかけた。抜群の運動神経で持ち直した国本君だけど、怪我してないかな?
「国本君!大丈夫?」
「いってぇ。」
駆け寄った私は国本君の膝に目を落とす。
「あ!」
国本君の膝から血が出ていたのだ。多分、持ち直した時にペダルで足を擦りむいたんだ。
「ちょっと待って。」
私はカバンを地面に降ろすとポーチを取り出す。そこからバンドエイドを取って国本君に渡した。
「いや、大丈夫だ、このぐらい。」
「遠慮しないで。」
それでも国本君は受け取ってくれかったから、私はバンドエイドを無理矢理、国本君の膝に貼り付けた。
「よし!完璧!」
「あ、ありがと。」
私はしゃがんだまま、国本君と目線を合わせようとして上を向く。いきなり振り向いた私に驚いたような国本君に、私は笑いかけた。大丈夫。きっとすぐ直るよって気持ちを込めて笑いかけたの。その時、国本君が何かをこそっとつぶやいた。
「ん?」
私が聞き返すと、国本君はさっきと同じぐらい顔を真っ赤にした。
「なんでもない。ありがとな。」
早口でそれだけ言うと、国本君は自転車で走り去ってしまった。
「可愛すぎるだろ。」自転車をこぎながら言う国本君の声が、私に届くことはなかった。
次の日。塾に向かう途中で、佳凛ちゃんがいきなり「年越しのことなんだけど……。」と言ってきた。
「ふうかのところって今年もおばあちゃんの家に帰るの?」
「今年は受験だから帰れないよ。」
私がしょんぼりするのと反対に、佳凛ちゃんは嬉しそうに言った。
「なら、年越しの時、一二月三十一日の夜にみんなで最後の追い込み&年越しパーティをしましょうよ!」
私の目の前がぱっとあかるくなった。みんなで年越しパーティ!!そんな楽しいことってないよね!?
「やりたい!!パーティだ!」
私が満面の笑みで言うと、佳凛ちゃんも小さく笑ってくれた。
「今日の塾で二人にも聞こ!私は港山君に聞いとくから、ふうかが国本君に聞いといてくれる?」
「うん。」