夕記すい、矢沢あい展へゆく

文字数 1,745文字

「人生で大切なことは、全部矢沢あいの作品に教わった」

だったか。
流れてくCMから聞き捨てならない言葉が聞こえてきた。

…私のことじゃないか!!!と、見ると、なんと我が町に矢沢あい展がやってくる…!!!!!

それは2月のことだった。

2番目の子ども、ツーがインフルになり、心身の力を使い果たし終わった頃。

ちょうど「岸辺露伴は動かない」展が終わりそうな頃。

露伴展行きたいなーと思いつつ、そんな気力もないし、雪だしコロナとかインフルとかうつったらやだしと思って見送った。

夏にはピクサー展にも行きたいと思いつつ、自力で行くには遠かったので見送った。

しかし矢沢あい展はそう簡単には見送ることはできない。

舞台ウラとかでも書いているように、私は漫画家になりたかった。
高校生になっても「りぼん」を買っていたのは、
大人になっても少女マンガコーナーにいたのは、
私をそこへ引き留めていたのは、
全て矢沢あい作品だった。

今でも手放すことのできないマンガ。
未完でも著者の復活を待ち続けるマンガ。
それでも子どもが生まれてから読んでる場合じゃなくて、「いつか読むぞー」と保管してあったマンガ。
人生を支えたマンガ。

矢沢あい作品は小さな頃の私の、いつか追いつきたい目標だった。

その原画が、私のすぐそばに…。

これは行くしかないと思う一方で、しばらく読んでいなかったので1人で行こうというところまで気持ちがあと一歩足りなかった。

そこで私は誰かと一緒に行こう、と思った。

約束しちゃえば行くだろう。

職場で何人かに聞いてみた。
年の差が10歳以内くらいの人を中心に聞くと、みんな読んでた。

「あー、好き好き、懐かしいー天ないとかー」がほとんどの答え。

しかし、行くかどうかは聞くまでもないほど、私との熱量は違った。
それから私は10年以上ぶりにマンガを一気読みし始めた。

結果、これは行くしかない!!!と思った。

そこで私はダンナを誘ってみた。
あっさり「いーよー」と言った。
しかし、私は不安だった。
ダンナはわりと予定を変更するからだ。

それでも私は吹雪の中、とりあえずチケットを買いに行った。

買ってしまえば行くしかないんだ。

ところが予感は的中し、期間内での私の最初の休みに行こうと言ってたのが2回目になり、また1回目にもどり、3回目にしようと言われたとき、ああ、もう私、1人でも行こう!!!と決めた。

いつ何があるかわからない。
自分は大丈夫でも子どもが風邪引いたりするかもしれない。
そうなって行けなくなったら一生後悔する。
原画を見れるチャンスなんてもう来ないかもしれない。
一生に一度のチャンスなんだ。

それでダンナには私は1人でも行く!と宣言した。

結果、予定通りの最初の休みに行った。


もう、恥ずかしさも何もなく、堪能した。

トーンが貼ってある!
修正してる!
ベタの境目がわかる!
と、いちいち感動し、写真をとりまくった。

あの中は夢の中だった。

好きすぎて1番なんて決められないけどあえて1番を挙げるなら1番好きなご近所のステッカーをもらい、
絶対買おうと思っていたぬりえを買い、ガチャガチャをしてこれが当たってほしいと思っていたベリーちゃんのピンバッジを当て、満喫した。

なんかもう、人生終わるんじゃないかと思った。

写真を改めて見て、本当に見たんだと思った。
学生時代はずーっと、マンガ読んでるとかも言えなかったけど、もう堂々と私の好きなものはこれだ!と言おうと思う。
LINEの背景もパラキスに変えた。

そしてまた出勤し、私は「行った方がいいよ!」とみんなにいいまくった。
ちょうど異動してきた人が同世代だったので言ってみると、なんと私と同じくらいの熱量で「行く!!」と言ってくれた。
布教に成功した。

まだまだ矢沢教の布教活動を続ける。
もう一回行きたいくらいだ。

昔の自分がいつか矢沢作品の原画が見られる日が来るなんて知ったら、その日を目指して生きてっただろう。
そんな日が来るとわかっていたら、私はもっとちゃんと自分のなりたいものにまっしぐらに進んで行けたんじゃないかとも思ったりする。

憧れに届くって、そういう自分を後押しするパワーがあるんじゃないかって思う。

また1つ、夢が叶った。

次の夢は矢沢あい復活。
私たちファンの願いで、絶対叶うと思う。
目に見えない願いの力の強さを私は信じたい。
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