空の巣

文字数 826文字

2番目の子、ツーが小学校に入学した。

それは何日か前なのだけれど、今朝、というかたった今、ツーが私の手から飛んでいくのを感じたので記しておきたい。

1番目の子、イチは女の子だからか、今思えばしっかりしていた。

私は自分が小学生の頃、不審者にものすごく遭ったため、心配で心配で、他の子が大人なしで遊んでいる時も公園で見守り、「もうついてこないで」とイチに言われるまでついていっていた。
けど、通学や新生活はほとんど心配なかったので、最初見送ったくらいで済んだし、「どこでもやってける」みたいなことを本人も言っていたので友達関係も心配なかった。

しかしツーはものすごく甘えん坊だ。
早生まれなので、やっぱり周りに比べると少し話の理解力が足りないなーとも感じる。
毎日誰かに何か言われたとかされたとかクヨクヨしている。
そして小さい頃の私と似ていて新しい環境に弱いし、ボーッとしている。

昨日まで近所の友達と登校し、それを見送る私をいつまでも振り返り、見えなくなるまで手を振るツーだった。
今日も「見ててね、ママのこと愛してるから」と言われたので見送ろうと思った。
けれど、友達が家の前で待ってたのを見つけたツーは大声で友達を呼んで、すぐに行きたそうだったので私は「行っておいで。ママ、ここまででいい?」と聞くと、ツーは「見ててほしい」というような顔を一瞬した後で「うん」と言って走って友達のところへ行った。

そしてツーが角を曲がった後、私はこっそり曲がり角まで行ってツーを見送った。

ツーが走っていった瞬間、私はツーが自分の世界へ飛んで行ってしまったと感じた。

そして、まだ見ててと言ったツーの手を先に離したのは私なんだなと思った。
離したくせに、早く大きくなれと思っていたくせに、今私は泣きながらこれを書いている。

卒業式でも入学式でもなく、今朝、ツーは階段を上った。本人は知らないうちに。

空の巣。これから私は自分の好きなものを詰め込んで居心地のいい巣にするぞー!!

とりあえず、泣いた。

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