アルペンのCM
文字数 1,209文字
雪の降らない地域でも、スキーのCMはあるのだろうか。
私は高校時代にやっていたアルペンのCMが好きだ。
もんのすごく好きだ。
広瀬香美の歌声が聞こえると、ハッとしてテレビに駆け寄っていた。
高校生の頃は、CMだけをビデオに撮ろうとまでしていた。
あの頃は加藤晴彦に心を完全に奪われていた。
当時我が家にあったのはビデオ。
そんな時代に。
私はとにかく加藤晴彦が見たくて、いつそのCMが入るのか独自の調査を始め、録画を試みた。
全く動物に興味はないが、『どうぶつ奇想天外』も録画していた。
今のように画像がバンバン手に入る時代ではない。彼の姿をいつでも見られる手段は『何かに写ってる切り抜き』しかなかった。
アイドルでもないので毎月雑誌に出てるわけでもなく、私はしばらく彼の出ている雑誌がないか探しまくった。
そしてある日、たった2ページの加藤晴彦を見つけた。それがものすごく気にいって、切り抜いて何年か手帳に入れていた。
そうなってくると、アルペンのCMじゃなくて単に加藤晴彦が好きなんじゃないかと思われるかもしれないが、違う。
あのCMがあってこその彼。
2つが合わさってこそ、最強のCMだったのだ。
今となってはなぜあんなに好きだったのか…わから…いや、わかっている。あの時代だけは強烈に好きだった。
いろいろパターンはあるのだが、私のお気に入りは、家の下に来てる加藤晴彦が、窓を開けると「スキーいこ!」と言うだけのやつだ。
たった5文字で心をわしづかみにされ卒倒しそうになる、最強のやつだ。
「スキーいこ!」を見るたびに私は心の中で
「行きまっす!!!!!」
と叫んでいた。
あのCMを作った人以外で日本中で1番好きなのは私だと言えるくらい好きだった。
偶然でも、録画したものの中にあのCMが入っていると消すことができず、ビデオテープのカウンターを駆使して、
加藤晴彦と加藤晴彦の間に加藤晴彦を録画する
というスペシャルビデオを作ったりしていた。
今思うと、もっと有意義に時間を使いなさいよと言いたくなる。
大学生まで続いてたということは受験生だったのだ、あの時は。
当時の私が夢を叶える番組に出られるとしたら、間違いなく加藤晴彦に会ってあのセリフを言ってもらうだろう。
あまりにも好きで友達に「アルペンのCMさ、加藤晴彦かっこよくない!?」と言ったが、「かっこいーよね~」という熱量の違う答えが返ってきた。
なので、私は細々と活動を続けていた。
友達とゲーセンで『相性のいい芸能人占い』を見つけ、「絶対加藤晴彦をひく!」と断言して引いたおみくじ的な紙には『加藤和彦』と書かれていた。
私も含め、その場にいた誰も知らなかった。その紙自体の古さに、いつの時代の芸能人だよ、と思った。が、一文字違いというちょっとした奇跡を起こしたのだった。
キュンとさせることが目的であろうCMは多々見るが、私の人生でアレを越えるCMは今のところない。
しかも、たった、5文字で。
すごいね、アルペン。
私は高校時代にやっていたアルペンのCMが好きだ。
もんのすごく好きだ。
広瀬香美の歌声が聞こえると、ハッとしてテレビに駆け寄っていた。
高校生の頃は、CMだけをビデオに撮ろうとまでしていた。
あの頃は加藤晴彦に心を完全に奪われていた。
当時我が家にあったのはビデオ。
そんな時代に。
私はとにかく加藤晴彦が見たくて、いつそのCMが入るのか独自の調査を始め、録画を試みた。
全く動物に興味はないが、『どうぶつ奇想天外』も録画していた。
今のように画像がバンバン手に入る時代ではない。彼の姿をいつでも見られる手段は『何かに写ってる切り抜き』しかなかった。
アイドルでもないので毎月雑誌に出てるわけでもなく、私はしばらく彼の出ている雑誌がないか探しまくった。
そしてある日、たった2ページの加藤晴彦を見つけた。それがものすごく気にいって、切り抜いて何年か手帳に入れていた。
そうなってくると、アルペンのCMじゃなくて単に加藤晴彦が好きなんじゃないかと思われるかもしれないが、違う。
あのCMがあってこその彼。
2つが合わさってこそ、最強のCMだったのだ。
今となってはなぜあんなに好きだったのか…わから…いや、わかっている。あの時代だけは強烈に好きだった。
いろいろパターンはあるのだが、私のお気に入りは、家の下に来てる加藤晴彦が、窓を開けると「スキーいこ!」と言うだけのやつだ。
たった5文字で心をわしづかみにされ卒倒しそうになる、最強のやつだ。
「スキーいこ!」を見るたびに私は心の中で
「行きまっす!!!!!」
と叫んでいた。
あのCMを作った人以外で日本中で1番好きなのは私だと言えるくらい好きだった。
偶然でも、録画したものの中にあのCMが入っていると消すことができず、ビデオテープのカウンターを駆使して、
加藤晴彦と加藤晴彦の間に加藤晴彦を録画する
というスペシャルビデオを作ったりしていた。
今思うと、もっと有意義に時間を使いなさいよと言いたくなる。
大学生まで続いてたということは受験生だったのだ、あの時は。
当時の私が夢を叶える番組に出られるとしたら、間違いなく加藤晴彦に会ってあのセリフを言ってもらうだろう。
あまりにも好きで友達に「アルペンのCMさ、加藤晴彦かっこよくない!?」と言ったが、「かっこいーよね~」という熱量の違う答えが返ってきた。
なので、私は細々と活動を続けていた。
友達とゲーセンで『相性のいい芸能人占い』を見つけ、「絶対加藤晴彦をひく!」と断言して引いたおみくじ的な紙には『加藤和彦』と書かれていた。
私も含め、その場にいた誰も知らなかった。その紙自体の古さに、いつの時代の芸能人だよ、と思った。が、一文字違いというちょっとした奇跡を起こしたのだった。
キュンとさせることが目的であろうCMは多々見るが、私の人生でアレを越えるCMは今のところない。
しかも、たった、5文字で。
すごいね、アルペン。