救世具体案

文字数 1,176文字


 目が醒める。
 ひどい夢を見た。

「おや、起きたかい?では早速、救世のプランを実行していこうか」

 夢ではなかった。
 散らかった部屋の中に、少女の姿をしたイエスちゃんは朝の光に照らされて、当然のごとくそこに居た。

ーーーーーーー

「で、私は何をすれば救われるんだ?」
「君は小説家なのだろう?素晴らしい小説を書いて、それが凄く多くの人に読まれ、売れて、儲かれば、幸福になれるだろう」
「そうだけど、そんなに簡単にはいかねーですよ!今、不況だし。本売れないし!」

「ふふふ〜ん、売れる本を出せばいいじゃないか?」
「だからそれが難しいっての!ヒット商品を作るのは簡単じゃないの!運要素もあるし!」

「だから人間は馬鹿なのだ」
「ハァン?」


「逆だ、逆から考えていけばいい。売れる商品を作るより、確実に本を買うファンを作った方が的確!」
「え?何言っての?ファンを作る?人体創造?」
「おバカちゃん!」
「ムカッ!」
「例えばさー、有名芸能人の書いた本が出たら。それが面白いかどうかは関係なく、そのファンは確実に買うよね?それは人気があり、ファンの数が多ければ多いほど、売れる数は増える」
「いや、ごめん私もそこそこファンは付いているはずだけど、頑張って1万部くらいなんだわ…」


「はーっはっはっは!馬鹿め!」
「なぬっ!」
「私は神だ!キリスト神だ!」
「それが何だよ!」

「私のファンの数はどのくらいだと思う?」

「え…あ、あぁ!!!」
「そう、キリスト教の信者は21億人ほど」
「21億人ーー!!」
「まぁ、全員が買う金がないとしても10億冊は余裕で売れるっしょ?」
「10億冊ーーー!!」
「ちなみに聖書の累計発行部数は60億〜150億冊くらいで、毎年6億冊くらい増刷してる」
「ど、怒号の印税生活がーーーッ!!」

ーーーーーーー

 そしてイエスちゃんは私もパソコンを器用に操作するとひとつのウェブサイトを開き、指を刺した。
 そこにはこう書いてあった。

「長い歴史をもつキリスト教の専門出版社、キリスト新聞社が、ライトノベルレーベル創刊につき、新人賞を開催します。これぞ史上初、世界初のキリスト教ライトノベルが誕生します!」


 キリスト教の専門出版社?
 ライトノベル?新人賞?

「な、うってつけだろ?」
「お、おぉ。そうだな。そうだよな?新興宗教とかでもあるんだよ、信者が必ず買うから作れる本とか映画とか、芸術作品だってそうだ。ちゃんと売れるのがわかっていれば出版社だって喜んで金を出す」
「ふふん、わかってきたじゃないか」
「そして、この募集はその総本山。キリスト教。いや、ちょっと大きすぎて盲点だった。そうだよな。ここで出せば良いんじゃないか。そうだ!これはいけるぞ!う、うおぉぉおおおお!!」

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