作戦失敗？

「うわーん、なんでじゃー！なんでダメなんじゃーい！」
「ええっと、イエスちゃん、ドンマイ」

　突然降臨したイエスちゃんと
　売れない作家である湯田誠（ゆだまこと）は世界中の人の心を救い。
　そしてそれを私が物語として書にすることで。
　第二の聖書を作る。
　新約聖書第二弾！
　「新！新約聖書」を刊行し
　世界中に数多いるキリスト教ファンに購入させ、
　莫大な儲けを得る計画！
　夢の印税生活でウハウハだぜーーッ！！

　と、そのはずだった。

　イエスちゃんは救世のプロなので
　人を救うことなど朝飯前のチョチョイのチョイだ！
　と思って街に出たのだが…。

「まったく全然ダメじゃねーか！なんでじゃー！朝からもう百人以上は声かけているのに、まったく全然かすりもしない。と言うか怪しい奴を見る目で見られてるしー。あー！もー！やだー！おウチ帰る〜！天に帰る〜！もう召される〜！！」

どてんばたん。

　一体どうしたものやら。いや、まぁ不審がられて避けられるのもわからないではないが。信心のない私でさえイエスちゃんのただならぬ存在感は感じ取ることができる。それを持ってすれば百パーセントといかないまでも、何人かは振り向いて耳を傾けても良いはずだ。全くのゼロというのは確率的もちょっとおかしな感じだ。

「ふはははは、ザマァないな。マヌケ面の神よ」

　不意に背後から声が聞こえた。そこには詰襟の学生服を着た黒髪の青年がそこにいた。