人類滅亡

文字数 931文字


「で、なんだって?」

 ドカドカと部屋に入って来てソファーにちょこんと座った少女は不思議そうにこちらを見ている。

「私はひとつのことしか言っていない」
「えぇ…確か神様だとか」
「そうだ!私が神だ!」
「えーっとまぁ、神様って言っても、いっぱいいますよね?何の神様ですか?」
「は?何の神?…あぁ、ここは多神教の地方なのか」
「…唯一神?」
「そうだ!世に神はたくさんいるような気がするが、神なんてものはひとりいれば十分だ。二つも三つも神様を持ってどうする、多すぎだ。食べ過ぎだ。ダイエットが必要な脂肪肝だ」
「えーっと、キリスト教とかイスラム教とか仏教とか…」
「イエス!」
「え?何がです?」
「イエス!ジーザス・クライスト・スーパースター!マイネームイズ、イエス!荊の王、ミスター・イエス・キリストとは私のことさーーッ!!わっはっはッハーー!」

「…」

「どうだ、驚いた?ひれ伏す?うやまう?たてまつっちゃう〜?」
「…で、どこから来たのかなお嬢ちゃん!」
「ノー!ノーじゃなくてイエス!イエス!ジーザス・クリニック!神様だよ〜信じろよ〜、神様だぜ〜、問答無用の言語道断、素早くすんなり信じろよ〜、幸せ欲しくない?希望欲しいよね?だったらー、イエス〜、イエス信じちゃいなよ〜。ユー、ジーザス・クライストッチャイなよ〜」

 ヤベェ、割とかなりヤベェやつだった。神?何言っての?そしてキーリースートー?キリストぐらい知ってるちゅーの。あの髭で黒髪の長髪で十字架に磔にされたやつでしょ?あと大工、変な知識はある。うまやどのおうじ!あ、それは聖徳太子か。

「聖徳太子は知らんけど」
「…おい、勝手に人の心の中を読むな!」
「あ、ごめんごめん。でも神なので心くらいすんなり読んじゃうよー」
「うぬぬ、いや、まだ神だと信じたわけじゃないが…」
「信心が足らんな」
「そういうことじゃない!」
「んじゃ奇跡を起こそうか」
「奇跡!」
「巨大隕石を落としてこの辺り一帯を火の海にするとか」
「…」
「…」
「やめて!」
「やめない!」

 と言ったか、いなや少女は両手を天にかかげた。
 
 ドーン!

 窓の外の景色が真っ白に光る。世界は光に包まれる。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み