さびしくないおはなし(『みんなのひーろー』第一案)
文字数 1,698文字
ふゆは、よるがはやくくるのだ。まどにさわると、ゆびがしゅるっとつめたくなって、そのまわりがしろくくもる。ひなちゃんも、こうくんも、おもしろがってさんにんで、ぺたぺたとまどにゆびでえをかいてあそんでいると、ふみせんせいがやってきて、ひなちゃん、おむかえよ、という。ひなちゃんのおとうさんが、どあのそばにたっている。ぱぱ、きょうは、のーざんぎょうでいなの、とかけていくひなちゃんのあたまをなぜて、ふたりてをつないでかえっていく。
さんにんははまいにち、“えんちょうほいく”にきている。ふみせんせいとみつこせんせいはずっととしうえで、ひるまみたいにうたったりおどったりかけっこしたりはしないけれど、おはなしがうまくて、ときどきすぺしゃるおやつをわけてくれる。ひざにのっかっててあそびをしたり、“えんちょうほいく”はみんなおなじへやだから、たからさがしをしたり、かみひこうきをとばしたり、さんにんはふみせんせいとみつこせんせいがだいすきだった。
まどにおでこをくっつけて、くらいそとにめをこらしていると、あのふしぎなおとがきこえた。だれかうたっているような、ふえのおとみたいな、ほいくしょのにわのむこう、まちのみちのどこからかひびいてくる。あれ、いしやきいもだよ、とこうくんがいう。ちいさなとらっくでさ、おいしいやきいもできたてですよ、ってしらせてるんだ。みつこせんせいとこうくんのおかあさんがおしゃべりしているこえがきこえてきた。こうくんのおかあさんは『じえいぎょう』で、ふくしゃちょーなんだ、とこうくんはむねをはる。いつもげんきでいつもいそがしいおかあさんに、こうくんはとつげきする。ばんごはんなに!?とおかあさんにくっついてわらう。
いつもさんにんのだれかがさいごだ。あきのおかあさんもとってもいそがしい。それでもあきは、ふみせんせいとみつこせんせい、ふたりともじぶんとあそんでくれるこのじかんがすきだった。せんせいもこどもいるんでしょう、かえらなくていいの、とおえかきしながらたずねると、ふたりのせんせいはわらっていう。せんせいのこどもたちは、もうずっとおおきいから、ひとりでおるすばんできるのよ。でもやっぱり、そばにおかあさんがいてくれたほうがいい、とあきはかんがえて、かなしくなった。これはせんせいたちのおしごとだけど、いませんせいたちをひとりじめしてるのは、わたしだ。
かべのぽっぽどけいがなりだして、あきのおかあさんがかけこんでくる。すみません、おそくなりました。とせんせいたちにあいさつすると、あきはおかあさんにかくれるように、ほいくしょのもんをでた。つかれちゃった、あきちゃん、ごめんね。あるきながら、おかあさんがしんぱいそうなこえできく。あきはこんくりーとのくろくしめったみちをみながら、くびをふった。そこに、あのおとがきこえてきた。
あきちゃん、まって、まって、あぶない。はしりだしたあきをおかあさんがおいかける。あきはちからいっぱい、そのおとにむかってはしった。ふゆのよみちでひとはすくない、あきとおかあさんはならんで、どんどんはしった。しろいいきがひゅうひゅうととんでいく。かどをまがって、まがって、こうくんのいったとおり、ちょうちんをさげたちいさなとらっくが、ゆげをふわふわとあげながら、そこにとまっていた。
「おかあさん、おかねはあとでかえすから、せんせいたちにやきいもあげたいの」
いきをきらすあきとおかあさんにおどろいたのか、やきいもやさんがうんてんせきからおりてきた。あきはおかあさんのうでにしがみついていった。せんせいたちにおいしくて、しあわせねっておもってほしいの。おかあさんも、ふみせんせいもみつこせんせいも、ひなちゃんもこうくんも、ひなちゃんとこうくんのおとうさんとおかあさんも、せんせいたちのこどもも、みんなみんな、しあわせになるにどうしたらいいんだろう。あきのはなったれをふいて、おかあさんはやきいもをよっつかってくれた。ほいくしょまで、あきはあったかいやきいものふくろをかかえてかえった。せんせいたちとたべたやきいもは、ほこらしくて、かなしくて、ふしぎなあじがした。
さんにんははまいにち、“えんちょうほいく”にきている。ふみせんせいとみつこせんせいはずっととしうえで、ひるまみたいにうたったりおどったりかけっこしたりはしないけれど、おはなしがうまくて、ときどきすぺしゃるおやつをわけてくれる。ひざにのっかっててあそびをしたり、“えんちょうほいく”はみんなおなじへやだから、たからさがしをしたり、かみひこうきをとばしたり、さんにんはふみせんせいとみつこせんせいがだいすきだった。
まどにおでこをくっつけて、くらいそとにめをこらしていると、あのふしぎなおとがきこえた。だれかうたっているような、ふえのおとみたいな、ほいくしょのにわのむこう、まちのみちのどこからかひびいてくる。あれ、いしやきいもだよ、とこうくんがいう。ちいさなとらっくでさ、おいしいやきいもできたてですよ、ってしらせてるんだ。みつこせんせいとこうくんのおかあさんがおしゃべりしているこえがきこえてきた。こうくんのおかあさんは『じえいぎょう』で、ふくしゃちょーなんだ、とこうくんはむねをはる。いつもげんきでいつもいそがしいおかあさんに、こうくんはとつげきする。ばんごはんなに!?とおかあさんにくっついてわらう。
いつもさんにんのだれかがさいごだ。あきのおかあさんもとってもいそがしい。それでもあきは、ふみせんせいとみつこせんせい、ふたりともじぶんとあそんでくれるこのじかんがすきだった。せんせいもこどもいるんでしょう、かえらなくていいの、とおえかきしながらたずねると、ふたりのせんせいはわらっていう。せんせいのこどもたちは、もうずっとおおきいから、ひとりでおるすばんできるのよ。でもやっぱり、そばにおかあさんがいてくれたほうがいい、とあきはかんがえて、かなしくなった。これはせんせいたちのおしごとだけど、いませんせいたちをひとりじめしてるのは、わたしだ。
かべのぽっぽどけいがなりだして、あきのおかあさんがかけこんでくる。すみません、おそくなりました。とせんせいたちにあいさつすると、あきはおかあさんにかくれるように、ほいくしょのもんをでた。つかれちゃった、あきちゃん、ごめんね。あるきながら、おかあさんがしんぱいそうなこえできく。あきはこんくりーとのくろくしめったみちをみながら、くびをふった。そこに、あのおとがきこえてきた。
あきちゃん、まって、まって、あぶない。はしりだしたあきをおかあさんがおいかける。あきはちからいっぱい、そのおとにむかってはしった。ふゆのよみちでひとはすくない、あきとおかあさんはならんで、どんどんはしった。しろいいきがひゅうひゅうととんでいく。かどをまがって、まがって、こうくんのいったとおり、ちょうちんをさげたちいさなとらっくが、ゆげをふわふわとあげながら、そこにとまっていた。
「おかあさん、おかねはあとでかえすから、せんせいたちにやきいもあげたいの」
いきをきらすあきとおかあさんにおどろいたのか、やきいもやさんがうんてんせきからおりてきた。あきはおかあさんのうでにしがみついていった。せんせいたちにおいしくて、しあわせねっておもってほしいの。おかあさんも、ふみせんせいもみつこせんせいも、ひなちゃんもこうくんも、ひなちゃんとこうくんのおとうさんとおかあさんも、せんせいたちのこどもも、みんなみんな、しあわせになるにどうしたらいいんだろう。あきのはなったれをふいて、おかあさんはやきいもをよっつかってくれた。ほいくしょまで、あきはあったかいやきいものふくろをかかえてかえった。せんせいたちとたべたやきいもは、ほこらしくて、かなしくて、ふしぎなあじがした。