アレクトLUS支部
文字数 1,886文字
――アレクトLUS支部――
ヘリが到着して、ドアを開けると少女が1人立っていた。
ヴェルス·ヴルードさんですね。適合試験、お疲れ様でした、私はアレクトロストアメリカ支部の受付をしているエルナ·ルメイスです
これからメディカルチェックを受けてもらいます、付いてきてください
ヴェルスは軽く頷いて、エルナに付いて行った。
――エントランス――
ここがエントランスです。兵士の皆さんには出撃前の集合場所や、待機中の休憩所として使われているんですよ
エルナの言う通り、ヴェルスと同じ黒衣を着た者達が会話や休息などをしている。
エレベーターと階段、その横に2つに分かれている道を曲がる。
壁には医療研究区画と書かれている。
ここが医務室です
エルナは医務室の扉をノックする。
サテアさん、メディカルチェックをお願いします
エルナが呼びかけると、中から1人の女性が出て来た。
ヴェルスさんですね、初めまして。私は看護師のサテア·リースです
ヴェルスは軽く会釈をした。
では、早速メディカルチェックをしましょう。すぐに終わりますからね
ヴェルスは医務室に入っていく。
他にも案内する所があるので終わるまで待っていますね
分かった
――医務室――
ちょっと我慢しててくださいね……
…………
サテアはヴェルスから採血をすると、機械の操作を始める。
体に何か違和感とかはありませんか？何処か痛んだり、体が動かしにくいとか……
いや、特に……
それなら良かったです。スレイヤーと違ってルブルムは常に害物の細胞を取り込んだ状態ですから何が起こるか分からなくて……
スレイヤー……？
スレイヤーというのはルブルムの1つ前の世代で侵食を抑えた害物細胞を取り入れて一時的に身体を強化して戦う人達の事です。ほんの数ヶ月前までは害物討伐の要だったんですけど、アレクトが今後はルブルムを主力にするみたいで、残っているスレイヤーの殆どはルブルムの補助に役割が変わるかもしれないって言われているんですよ
あれは大袈裟に言った訳じゃなかったのか……
ヴェルスは小さく呟いた。
はい、お疲れ様でした。検査結果にも特に異常はありませんでしたよ
どうも……
怪我した時は遠慮なく来てくださいね
ヴェルスは再び軽く会釈をした。
医務室から出ると、エルナは手を前に組みながら壁を背に立っていた。
では、次に開発局へ案内しますね
エントランスの分岐路に戻り、医療研究区画とは反対に真っ直ぐ進む。
壁には技術開発区画と書かれている。
――開発局――
ここが開発局です。レイミィさんはいらっしゃいますか？
あー、今行きまーす
エルナが呼びかけると奥からゴーグルを着けた金髪の女性がやって来た。
あぁ、エルナ。その人は？
本日から配属となったヴェルス·ヴルードさんです
へぇ……て事は、キミもルブルムなんだ？
……？
レイミィの言葉が引っかかり、エルナに目で問いかける。
ヴェルスの他にもルブルムとなった人が3人配属となっています。後で顔を合わせると思いますが、皆さん悪い人ではなさそうでしたよ
そうなのか……
では、私は先に戻ります。レイミィさんから説明を聞いた後、受付に来て下さいね
ヴェルスが小さく頷いたのを確認すると、エルナはエントランスへと戻って行った。
さてと、じゃあ軽く紹介を……。改めまして、私の名前はレイミィ·ルーヴ、LUS支部開発局の技術者でもあり責任者。装備の事ならお代さえ貰えれば整備、開発……その他色々と。……って感じだけど、質問あったら答えるよ
武器はどんな種類が……？
遠距離から近距離まで一通り揃ってるよ。一応聞いておきたいんだけど……近接派？遠距離派？
銃とかは多分使わない……と思う
そうなんだ、それなら良かったよ。火薬が殆ど手榴弾を作るのに回されてて、銃器はあるんだけど弾の方が足りない状態だからさ、これ以上遠距離型が増えたら厳しい所だったんだ
はぁ……
でも、近距離用の武器なら言ってくれたら何でも作るよ。本部から許可が出てる物だけになっちゃうけどね
そんな決まりが……？
兵士が使う武器は基本的に本部が試用して害物との戦闘に適していると判断された物だけが使われてるんだ。それから各地の支部に製造許可が出されて、そこで初めて使えるようになるって訳。勝手に使い物にならない物を作って無駄に資源を消費しないようにって事でこの決まりがあるんだよ
そうなのか……
とは言え、各支部の自己判断で強力な武器が作れないっていうのも勿体無いなとは思うけどね
そうかもしれないな……
すみませんレイミィ！手伝ってくださいー！
何？！何かやらかした！？
ごめんね、話はまた別の時にって事で……！
あ、あぁ……
一人残されたヴェルスも受付に戻った。
