そして日は沈みゆく

文字数 1,404文字

――LUS支部·病室――
カイゼルさん、起きませんね……
うん……
大丈夫ですよね?このまま起きなかったり……しませんよね?
サテアさんが大丈夫って言ってたから多分心配無いと思うけど……
そう言えば、そうでしたね……
シャロアが心配そうにカイゼルの顔を見つめていると、閉じていた目が開く。
ん……?
……!赤い犬は何処だ?!
カイゼルは勢い良く上体を起こし、周りを見渡した。
うわぁぁっ!?
突然の目覚めたカイゼルに驚き、シャロアは壁に後頭部を打った。
だ、大丈夫……?
頭の後ろを抑えてシャロアはうずくまる。
って、レファと……シャロアは何やってるんだ?
〜〜!!
シャロアは涙目になりながらカイゼルを睨んでいた。
*  *  *
そうか、一撃でへばってたのか……。調子いい事言っといて情けないな……
1人であんなのと戦おうとした人が何を言っているんですか……
そ、それは仕方無いだろ?あの時はああするしかないと思ってたんだからさ
…………
カイゼルの言葉にシャロアは瞼を半分下ろし、不機嫌そうな目を向ける。
ま、まぁ……。もう少しやり方はあったかもな……
でも、無事で良かったよ。怪我はもう大丈夫?
あぁ、特にあざとかも無いみたいだ
さっきまで全然動かなかったから安心しましたよ……
ルブルムの力のおかげだね
害物の力に助けられるってのは変な感じだけどな……
あはは……
そういえば、ヴェルスはどうしたんだ?
ヴェルスさんにはカイゼルさんが早く元気になるような物を買いに行ってもらってますけど……。それにしては、ちょっと遅いような……?
――食堂――
自動販売機を前にヴェルスは考える。


この自動販売機には豆や芋、小麦を加工した食品。

左隣には飲み物。

右隣を見ると、数種類のレーションバーとゼリーが売られている。

元気が出る物、と言っても一体何を買えば……。やっぱり付いてきてもらうべきだったか……
それなら、ビタミンゼリーが良いですよ
?!
背後から聞こえた女性の声にヴェルスは思わず驚き振り返る。
あっ、ごめんなさい。驚かせてしまって……
あ、いや……。別に……
それなら良かった。あなたは……ルブルムの方ですよね?
え、あ……。まぁ……
あぁ、やっぱり……!噂には聞いていたんですよ
は、はぁ……
私は第2部隊の副隊長を務めているミア·フレーレと申します。よろしければ、お名前を教えていただけますか?
ヴェルス·ヴルード……です……
これからよろしくお願いします、ヴェルスさん
ミアの端末から通知の音が鳴る。
ちょっと失礼しますね
端末を取り出すと、ミアは画面を確認した。
すみません、もう少しお話をしたかったのですが任務が入ってしまいました
いや、別に気にしないでください……
ありがとうございます。では、また
軽く頭を下げ、ミアは去っていった
大人しそうな人だと思ったが……。見た目で判断するものじゃないな……
そう呟いて、端末をかざす。

自動販売機から出てきたビタミンゼリーを取ると、それを懐に入れた。

――病室――
ビタミンゼリー……。悪くはなさそうだな、味が書いてない事だけは気になるけど……
カイゼルはゼリーを飲んだ。
うん、不味い!
どんな味なの?
味はそうだな……。変な酸味と……若干渋い感じだ……。まぁ、不味い
悪い、カイゼル……
いや、ヴェルスは悪くないんだけどさ……。とりあえず、水を持ってきてくれるか?
あぁ、すぐに持ってくる……
ヴェルスは早足で水を取りに行った。
アレクトにまともな食べ物は無いんですかね……
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