適合者達

文字数 1,718文字

受付に戻るとエルナは男と話をしていた。
任務お疲れ様でした。お怪我はありませんか?
あぁ。今日もいつもと変わらずってとこだ
そうですか……。先日の調査隊の壊滅から何も起こらないというのは却って不安になりますね……
手が付けられなくなる前に仕留めたいが、出て来てくれない事にはなぁ……
男がヴェルスの気配に気付く。
ん?見ない顔だな、新入りか?
ま、まぁ……
ヴェルス·ヴルードさんです、今日からこの支部に配属されたんですよ
あぁ、噂のルブルムか。俺はレヴァン·クロウズ、一応第1部隊の隊長をやってんだ
一応……?
人員の再編成で第1部隊の方々はそれぞれ他の部隊に分けられているんです。レヴァンさんだけは例外ですけどね
俺だけの方が使いやすいんだと、人使いが荒いってもんじゃねぇよなぁ……
それほど実力があるという事ですよ
都合よく言ったもんだ……。俺が戦わなくて良くなるように頑張ってくれよ?
…………
なんてな。頑張れよ、新入り
一言残して、レヴァンはその場から立ち去っていった。
そういえば、ヴェルスさんにも端末を渡しておかないといけませんね
端末……?
はい、ちょっと待ってて下さい
そう言ってエルナは受付の奥に入って行った。
どうぞ
奥から戻るとエルナはヴェルスに黒い板のような物を渡した。
これが端末なのか……?
はい。昔使われていた通信機器を参考に作られた物で、アレクトに所属している人は持つ事が義務付けられています
それでは早速、端末の機能について説明を……
エルナさーん……!これ、間違って買っちゃったんですけど……

エルナの話を遮る少女の声。

端末と棒状の物を持った少女がうなだれながら、受付にやって来た。
それは……レーションバーですね。未開封のようなので返品を受け付けますよ
本当ですか?!
エルナの言葉に少女は顔を上げる。
あっ!ごめんなさい、気付かなくて……お話中でした……?
いや、気にしないでくれ……
こちらはヴェルス·ヴルードさんです。先程この支部に到着したばかりで……
と言う事は私達と同じルブル厶ですか?!
は、はい。そうですよ
言葉を聞いた瞬間、少女はヴェルスの腕を掴んだ。
ヴェルスさん、お借りしますね!
……!?
あ、そのレーションは……?
行っちゃいました……

――アレクトLUS支部·食堂――

アレクト支部の食事スペース。

所属している人数に合わせたテーブルと椅子、食品や飲み物を売っている販売機だけが置かれている。

2人とも顔を合わせておきましょう!これから一緒に戦っていくんですからね!
少女に連れられ食堂奥へと進む中で、ヴェルスは周りから偏見の目で見られている事に気付いた。

そんな事は知らずに少女は早足で進む、向かう席には既に2人座っている。

カイゼルさん、レファさん!4人目ですよ、4人目!
2人の居る席に着くと、少女は目を輝かせて話した。
と、とりあえず座れよ。他の先輩方が見てるからな……
うぅ、すみません……

場の空気を理解し、少女は萎縮する。

少女が席に着くと、ヴェルスも遅れて椅子に腰を下ろした。
4人目って事は、お前もルブルムなのか?
あ、あぁ……
そうか、じゃあ自己紹介をしとかないとな。俺はカイゼル·バージだ。気軽にカイゼルって呼んでくれ
あぁ……
えっと、レファ·ルインズ……です……。レファって呼んでほしい、かな……。よろしくね
よろしく……
で、こいつがシャロアだ
何でカイゼルさんが言うんですか!?
…………
シャロアには軽い会釈。
えぇっ?!私だけ反応違うような……?シャロア·フィールです、覚えてくださいね!
俺はヴェルス·ヴルード……。ヴェルスでいい、よろしく……
よろしくな、ヴェルス
そういえば……さっき買ったやつは返品してもらえたのか?
あ、そういえば……
やっぱり、私が食べます!ハチミツ味を買う予定じゃ無かったんですけど、きっとこれも何かの巡り合わせ!
シャロアは袋を開けた。
決して忘れてた訳じゃないですからね!
そして袋から少しだけバーを出し、かじる。
ぅう……美味しくないです
素直に返品して貰っとけば良かったな……
あはは……
4人に男が近付く。
お前達がルブルムか?
はぁ、そうですけど……
そうか。私は、お前達4人の担当となったフォルク·ベズレーだ。これから演習を行う、付いて来てもらうぞ
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