カッコウ

文字数 1,390文字

カッコウを探す2人の前にトカゲが現れる。
またトカゲか……
トカゲが気付く前に2人は武器を構える。
援護するよ
あぁ、頼む
ギェェェッ!ギェェェッ!

トカゲは勢い任せに走りだした、その動きは先程の2体と変わらない。

トカゲに向かって斬りかかるヴェルスに当たらないように、レファは位置を変える。

弓を構え、矢を放つと一直線に目の前の敵に向かうトカゲの右足に刺さった。

兎影は立ち止まり、標的をレファへと変える。

視界に入った敵に威嚇。

そうして隙を晒している間にヴェルスは兎影の首元を突き刺し、切り払う。

衝撃で地面に倒れると徐々に弱々しくなり、血溜まりが出来上がると、兎影は動かなくなった。

1体だけなら大した事はないな……
ヴェルス!そこから離れて!
武器を納め、目の前の死骸から流れ落ちた核を拾おうとした瞬間。

ヴェルスに向かってレファが叫んだ。

っ……!?
ヴェルスの頭上から大きな鳥が翼を広げて襲い掛かる。

その場から離れる為に力任せに地面を蹴った。

回避の勢いで地面に半身を擦り付けつつも距離を取ると、様子を見ながら立ち上がり、再び剣を抜く。

キェェェェッ!キェッ!キェッ!
これが、カッコウか……?
ヴェルスとレファの目に映っている鳥はしなやかな足をしていて、トカゲと同じように立っている。

2メートルを超える程の大きさで、右腕には腕甲のような物。

交互に2人を見ると、レファの方へと体を向けた。

……!
カッコウはその足で力強く地面を蹴りながら、レファの方へと詰め寄った。

それが目の前に来た瞬間、威圧感と恐怖によってレファの体は動かなくなった。

っ……!
ヴェルスは素早く敵の背後に迫ると、剣を左腰に構え、下から振り抜いた。
キェッ!
腰元に斬撃の跡が僅かに残った。

素早く距離を取るヴェルスをカッコウが追いかける。

俺が引きつける、2人に連絡してくれ……!
ぁ……うん……!
キェッキェッ!
カッコウが再びジェクスに襲い掛かる。

大振りな動きで右腕を地面に叩きつける。

あれを食らったら痛いなんかでは済まないだろうな……
レファへと注意が向かないように攻撃を躱し続ける。
キェッ!
痺れを切らしたのか、短く鳴いた直後に軽く跳んで体を浮かせる。

そして翼を羽ばたかせて一瞬で高度を上げ、地上の敵を捉えた。

何っ……!

急降下。

右腕から繰り出される裏拳。

突然の行動に対応出来ず、ヴェルスは壁に叩きつけられる。

ぐっ……!!
カッコウは左腕を使い、急ターンしながら姿勢を起こす。

更に追い打ちをかけるべく、走り出した。

ヴェルス!!
キェェ……!キェッ!キェッ!
立ち上がろうとするヴェルスに向かってカッコウが右腕を振りかぶった瞬間。
うおぉぉぉっ!!
!?
真上から声が聞こえると、建物の上からカイゼルが飛び降りた。
キェッ?!
落下の勢いに乗せ、カッコウの背に剣を振り下ろす。
キェェェェェェッ!!

カッコウが大きく鳴き声をあげた。

僅かに直撃を外したものの、カッコウの右半身を裂いた剣の威力は相当なもので、傷口からは大量の血が流れ出していた。
キェッ……キェッ……!
弱々しくなった活甲は戦闘を中断して逃げて行く。
ヴェルス、大丈夫か?
あぁ……悪いな、助かった
カイゼルの手を借りて、ヴェルスは立ち上がった。
キェッ……キェェェ……キェ

それは突然の出来事で、弱々しいカッコウの姿が弱々しい声と共に3人の視界から一瞬で消えた。

代わりにそこに現れたのは、赤い体毛の大きな犬の姿をした害物だった。

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