第24話 Kielelliset vaikutteet suomeen

文字数 1,727文字

フィンランド語への異言語の影響

フィンランド語を勉強していると、例えば動詞ollaの活用を見ていると、なぜ英語やドイツ語や北欧語などのヨーロッパ言語にそっくりな活用をするのか疑問を持つ。欣吾先生の本では、これに対する見事な説明があるので披露する。欣吾先生もこれをフィンランド語の原典に当たっているが、その情報は省略する。また文字表記は一部変更した。

フィンランド語書き言葉への異言語の影響
(p.120「言の葉」より)

⚫フィンランド語は常にインド・ヨーロッパ語族の言語と接触を持ってきた

⚫書き言葉の確立の初期段階においては、とりわけラテン語とスウェーデン語の影響が大きかった

⚫フィンランド語標準語の大部分はスウェーデン語を翻訳することにより作り出された

⚫書き言葉の確立にたずさわった人々の間では、1800年代終わりまでフィンランド語とスウェーデン語の二言語能力を持っているということが例外ではなく原則であった

⚫書き言葉の確立初期においては、フィンランド語へ翻訳するテキストの言語としてラテン語が重要な意味を持っていた

⚫ラテン語はスウェーデン語やドイツ語にも影響を与えたが、そこからさらにフィンランド語にも影響を及ぼした

⚫書き言葉の確立期には、宗教改革に関わる文献の中心的言語としてドイツ語が重要な意味を持っていた

⚫ギリシャ語の直接的影響を発見することは難しいが、新約聖書の原語としての重要性は見逃せない

上記のようにフィンランド語の書き言葉は、確立当初から、さまざまな大きな影響を受けてきた。特にスウェーデン語からフィンランド語の書き言葉への影響は、非常に大きかった。純粋なフィンランド語を確立するために、スウェーデン語などの他言語の影響を排除することが、重要な問題の一つだった。

余談になるが、20世紀に量子力学を確立した物理学者ヴェルナー・ハイゼンベルクは若いときからドイツ語を話すフィンランド人との交流があり、彼らが冬戦争などのソビエト連邦との戦争で亡くなったときその死を悼んでいる。フィンランドは昔からドイツと関わりが深いとフィンランド史の本を読んでいると書いてあるが、その言語にもドイツ語と深い関わりがあったのだ。

フィンランド語では、音の長短が重要性を持つ。p.121「言の葉」の表6-2にあるように、
ei tule (エイ トゥレ) 彼/彼女が来ない
ei tulee (エイ トゥレー)風が吹かない
は意味が異なる。

またフィンランド人のピアニスト(東京のすみだトリフォニーホームで生演奏に接したことがある)は、Olli Mustonenオッリ・ムストネンであって、オリ・ムストネンではないのにプログラムにはそう書かれる。日本語には拗音(詰まる音)があるにも関わらずである。

ハイゼンベルク関連の書籍を読んでいると、年代や翻訳者によって、かなり外国名の表記が異なる。昔は「ヒットラー」と詰まる音があったが、最近は「ヒトラー」が多い。ドイツ語を正確に発音すれば「ヒットラー」が近いが、2023年11月時点での慣用は「ヒトラー」である。ヴェルナー・ハイゼンベルクはちょっと昔表記らしく、最近はウェルナーになっているものもあるが、なんだか違う人みたいである。

またATP(男子プロテニス協会)に、フィンランド出身のRuusuvuori(直訳すれば薔薇山さん)というテニス選手がいる。NHKではもう放送しなくなったが「ルーズボワレ」とフランス語のように変に呼ばれていた。アメリカ英語が基準になっているらしい。

エーミル・ルースヴオリ(Emil Ruusuvuori, フィンランド語発音: [ˈěːmɪl ˈruːs̠uˌʋuo̞̯ri]、1999年4月2日~ )は、フィンランド・ヘルシンキ出身の男子プロテニス選手。身長188cm、体重79kg。右利き、バックハンドは両手打ち。ATPランキング自己最高位はシングルス42位、ダブルス179位。2023年11月現在24歳。


エーミル・ルースヴオリ
(このWikipediaの写真は2021年のもの)

(Wikipediaより)

北欧勢で一番ランキングが高いのはノルウェーのカスパー・ルード選手だが、薔薇山(ルースヴオリ)さんにも頑張って欲しい。
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