嫌いな奴
文字数 683文字
嫌いな相手に優しくできないよね
三毛猫のミータンと黒猫のハイデガーはビアガーデンに来ていた。ビアガーデンの椅子に座って、人間たちの愚痴を聞いていた。会社の上司の愚痴や、夫や妻の愚痴、友達の愚痴や家族の愚痴など千差万別である。
「好きな相手なら、幸せになって欲しいと思って親切にしてあげられるけど、嫌いな相手だとそんなことできないよね」
「そうだね」
黒猫のハイデガーが答える
「優しくできる相手は好きな相手に限られるんだよね」
「そんなことないよ」
「そうかな?」
「たぶんね」
ハイデガーはぼんやりとビアガーデンの様子を眺めながら話す。
「優しい人は相手が誰でも関係なく行動すると思うんだ。というよりも、自分本位だから相手の素性は関係なくなると思うんだ。例えば誰かが苦しんで倒れているという状況に遭遇した時に、その人が誰でどんな人かは関係ない。単純に、そういう状況に遭遇したら相手を助ける、というだけのシンプルな論理で動く。それが優しい行動だと思う」
「シンプルな論理で動く?」
「そうだね。状況の中には色々なパラメータがあるでしょ?相手の好き嫌いとか、お金がどうとか、用事があるとか色々な条件があるはずだ。そういう細かい条件に基づいて行動を変えていくんじゃなくて、シンプルな論理で行動を決める。例えば、相手が苦しんでるとか、泣いているとか、そんな単純なこと」
ミータンは黙って聞いていた。
「相手が好きとか嫌いとか、そういう細かい条件に依存して行動が変わるのなら、それはたぶん優しさに基づく行動じゃないんだと思うな」
その後も、ミータンとハイデガーは騒ぐ人間たちをぼんやりと眺め続けた。
終わり
三毛猫のミータンと黒猫のハイデガーはビアガーデンに来ていた。ビアガーデンの椅子に座って、人間たちの愚痴を聞いていた。会社の上司の愚痴や、夫や妻の愚痴、友達の愚痴や家族の愚痴など千差万別である。
「好きな相手なら、幸せになって欲しいと思って親切にしてあげられるけど、嫌いな相手だとそんなことできないよね」
「そうだね」
黒猫のハイデガーが答える
「優しくできる相手は好きな相手に限られるんだよね」
「そんなことないよ」
「そうかな?」
「たぶんね」
ハイデガーはぼんやりとビアガーデンの様子を眺めながら話す。
「優しい人は相手が誰でも関係なく行動すると思うんだ。というよりも、自分本位だから相手の素性は関係なくなると思うんだ。例えば誰かが苦しんで倒れているという状況に遭遇した時に、その人が誰でどんな人かは関係ない。単純に、そういう状況に遭遇したら相手を助ける、というだけのシンプルな論理で動く。それが優しい行動だと思う」
「シンプルな論理で動く?」
「そうだね。状況の中には色々なパラメータがあるでしょ?相手の好き嫌いとか、お金がどうとか、用事があるとか色々な条件があるはずだ。そういう細かい条件に基づいて行動を変えていくんじゃなくて、シンプルな論理で行動を決める。例えば、相手が苦しんでるとか、泣いているとか、そんな単純なこと」
ミータンは黙って聞いていた。
「相手が好きとか嫌いとか、そういう細かい条件に依存して行動が変わるのなら、それはたぶん優しさに基づく行動じゃないんだと思うな」
その後も、ミータンとハイデガーは騒ぐ人間たちをぼんやりと眺め続けた。
終わり