第9話 ミッシングリング

文字数 517文字

2年前。
「これは10年前に貝の調査をした時の写真だ。採取した貝は、大きさ順に並べてある」
「なるほど。小さい貝から、大きい貝までありますね」
「他に、気が付くことは、あるかい」
「よく見ると、小さい貝と、大きい貝がありますが、途中でとんでいるサイズがあるように見えます」
「そうだ。ある世代の貝が欠けている」
「それは、何故ですか」
「正確な原因はわからないが、考えられる可能性は2つある。一つは、火山の噴火のような突発的な現象がおこって、ある世代だけが死んでしまう場合だ」
「中国の大躍進のときの餓死みたいな話ですね」
「しかし、突発現象は観測されていないので、この可能性は低い」
「もう一つの可能性は、何ですか」
「最近生まれた貝はある年齢以上には、成長できない場合だ。その限界点が、再生産できる子孫を残すことができる年齢以下の場合には、時間の問題で、絶滅してしまう」
「そんなことが、起こりえるんですか」
「これが、5年前に、同じ調査をした時の写真だ」
「あっ。欠けている大きさのレンジが広がっていますね」
「そうだ。原因はわからないが、あとの仮説が当てはまるようだ。このサイズが、限界点では、再生産は難しい」
「つまり、絶滅に向かっているということですか」
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