第8話 メダカの水

文字数 430文字

「先生。メダカさんが死んでしまいました」
と泣きながら、小学1年生の女子生徒が報告にきた。
「どうしたの」
と1年生担任の鈴木明子が聞いた。
「メダカさんが、メダカさんが、死んじゃったんです」
「いつのこと」
「昨日、お水を換えてあげたんです。わたし、当番でしたから。そして、今朝、見たら、メダカさんがみんな、死んでいたんです」
「お水はどうしたの」
「お水は、学校の裏の小川からくんできたんです。だって、水道のお水より、メダカさんに優しいって、みんながいうんですもの」
「そうよ。小川のお水を使いましょうって、お約束ですから、それで良かったのよ」
「なのに。なのに」
「そうね。あなたは、正しいことをしたのよ。メダカさんが死んだのはあなたの所為ではないわ。みんなで、お墓を作ってあげましょう」
鈴木は生徒を慰めたが、自分自身では、混乱していた。「小川の水に毒でもはいっていたのだろうか。メダカが直ぐに死ななかったところを見ると、毒では無さそうだが、何が悪かったのだろうか」と考えた。
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