第10話 カムバックサーモン

文字数 558文字

川の水が銀色に輝いていた。遠目でみると、異様な美しさだった。近づいて見ると、それは、死んで浮かんでいる大量のサケの腹だった。ほんの少し魚臭かった。死んでから、まだ、時間が経っていないのだろう。このまま、放置すれば、2,3日で、異臭が漂うに違いない。

「サケが大量に死んでいます。今年の『秋のサケ祭り』は、中止にしますか」
「川にサケはのぼっているのか」
「サケは、川を遡上しています。しかし、遡上の途中で死んでいます。これから、更に、海から、川にのぼってくるサケの数は、明後日の『秋のサケ祭り』頃までは、増えると思われます。しかし、死亡するサケの数も増えるでしょう」
「死亡の原因はなんだ」
「断定的なことはわかりません。雨が降った後は、死亡数が、少し減少するので、水質が、原因の可能性があります」
「明後日までに、何とかならんか」
「会場周辺だけあれば、今河川で死んで浮いているサケは、人を増やせば、取り除けるかもしれません。しかし、これから、死亡するサケが出てきた場合には、お手上げです。浮いているサケの死骸は、回収できますが、沈んでいる死骸は、回収が難しいです。死んだサケは腐敗して、異臭がするでしょう。死んだサケがいる『秋のサケ祭り』では、イメージダウンになるので、無理をして、祭りを決行するよりは、中止すべきと思います」
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