15話・斜めに降りるエレベーター

文字数 1,417文字

 夢
 こんな夢を見た。と言う大先生の映画があったが。私も以前、変な夢を見ていた。
それが何なのか良く分からない夢だった。
大抵、この手の夢は連作である。
同じ場所で同じシチュエーションなのだ。
だが若干、落ちが違ったりもする。
 但し、そこには重要な共通点がある。

 場所はデパートかホテル。私は客だったり、従業員だったりする。デパートは昔、バイトで働いていたので。大抵、そのデパートだったりする。違う時も勿論ある。
ホテルは旅行で泊まった設定なのだろうか?
 そんな事より、この夢の核心はエレベーターにある。何故か沢山有るのだエレベーターが、その施設には。

 最初は何気に普通に乗っていたが。
何回か続くと。いや、このエレベーターは乗りたくない、と思うのである。だが結局乗る。
一人の時もあれば数人の時も。しかし、詰め詰めでは無い。最終的には一人になるのだが。
 これなら大丈夫、と乗ったエレベーター。
最初の頃は止まり扉が開くと段差が出来ていたつまり上下が、きっちり止まっていないのだ。昔のエレベーターには良くあった。
業務用で経験があるのだ。

 だが、それも無くなると。今度は途中で突然止まる。そしてガタン!と音がしたかと思うと横に動くのである。
 経験のない人の為に言えば(大抵無い)。
エレベーターに乗れば、上か下かにしか行かない。その時、マイナスGとプラスGを感じて。
上がってる、下がってると認識するのだ。
尤も最新のエレベーターは、あまり感じないようになっているが。

 これが横に動くと何とも気持が悪い。
とても不安になる。
最初はえっ?何処へ何処へと思っていたが。
何回か、その夢を見ると。
始まった始まったと思うのである。
やはり、気持ち悪さと不安はいつも起きる。
 自分の目的地に行けないどころか、窓もない密閉された箱の中で何処へ向かっているのか、分からないのである。
この恐怖はかなりのものだ。

 そして、大抵下る。上がった時は、屋上の更に先の吹きっさらしに出た事があるが。
数を重ねると、下る事が多かった。
そして、斜めに下るのだ。
言わばロープウェイみたいな感じだ。
外が見えたりする、夢だから。
私は森の様な所へ連れて行かれる。
 一度、子供の頃に遊んだ様な、見知らぬ板壁の路地裏に降りた。懐かしさは無かった。
唯こんな所知ってるかな?と思うだけだった。
自販機なんかがあったりするが、人はいないのだ。夕暮れの寂しさが辺りを包んでいたりする。

 一番憶えているのは、印象に残ったものは。
駅に降りた時だ。しかも、既にエレベーターですらない。途中から変わっているのだ。
小さな籠の様なもので膝をついて降りると、
電車の駅なのだ、田舎の駅員すらいない森に囲まれた駅だ。
 ふと見上げると、前の森の上が山で。
そのてっぺんに自分がさっきまで居たホテル?があったりするのだ。
 あそこに戻るには、どうしたらいいのか分からず。唯、森の中の駅のホームでホッとしている自分がいる。

 こう言う夢を何度か見ているうちに。
自分でも、出来ない夢占いをしてみた。
エレベーターとは何ぞや?
人生?仕事?環境?
まあ、そんなところだろう。
上でもなく下でもなく斜めに降りるとは?
これが厄介だ。
不安で気分が悪く、恐いのである。
 多分、自分が望んだ目標とした場所へ行けなかった事への不満と不安なのだろう。
ならば到着した場所に何故ホッとするのだろう
私は今の場所に不満は無いのかも知れない。

 そう言えば最近、見なくなった。

 終わり。

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