第5話・蜜蜂の試練

文字数 859文字

 〜枕〜
 えー、屋良貸亭一平でござんす。
 皆様、桜と聞きやすとぉ〜、何を思い浮かべますかねぇ。
あっしなんかは、桜の木ノ下で一杯やりてぇなぁ〜、なんて事を想像いたしやす。
 とある桜のお医者が言いやした。
『ソメイヨシノは人に媚びた桜だから、あまり好きでない』
と。何故なら、花なんてのは大抵お天道さんに向かって咲くものでやすが。
何故か、ソメイヨシノは下を向いて咲いておりやす。
 それは多分、染井さんが吉野地方で・・・
いやいや染井地方で吉野さんが・・・
え~い!諸説あり!何て訳でして。
淘汰進化を遂げた桜を、売り出したせいでござんす。

 人に媚びるたぁー、粋でござんすなぁ。
あはは。そのうち歩きだすんじゃ、ねぇんですかい?
 てな訳で、本編をどうぞ。

 〜蜜蜂〜

 とあるミツバチの巣で、長年ミツバチ部隊の隊長を勤めるバチ子が言った。

「あんたら、今年で2年目のルーキーだね」

 『はい』

数匹のミツバチが、そう答えましたとさ。
するとバチ子さん、キセルをバン!とタバコ盆に叩き付けると。

「そろそろ、あんたらも桜の木に行く時だね」

と仰有ったぁ〜!
ルーキーミツバチ、皆震え上がったぁ〜。
 何故なら、桜の花は下を向いている。
ミツバチに限らず、昆虫は背面飛行が出来ないのだぁ〜。だからもし、手を滑らせたら地上へ真っ逆さま。それでなくても、鳥などの天敵から身を守るのは、その高機動の飛行能力だけだというのに危険が一杯だぁ。
 これはいじめなのか?
それとも死ねという事なのか。
若いミツバチ達は、震えながら涙目になっていたぁ〜。
 するとバチ子さん、こう仰有った

「何もね、あんたらが憎くて言ってんじゃないのよ。ミツバチをこれからもやろうてんなら、桜はあんたらの試金石だね。
桜吸ってなんぼよ!気合入れて行きな!」

はぁ、ですが若いミツバチちゃん達は、震えるだけでしたぁ〜。何てねぇ〜。
 皆さんも、桜にとまっているミツを集めているミツバチを見付けたら。
応援してやっておくんなせぇよぉ〜。
 てな訳で、おしまい、と。


 平成29年3月2日初稿
 令和5年5月24日加筆修正。
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