第4話・今日は特別な日

文字数 781文字

 間違いなく特別な日だ。
 今日は特別な日だ。
それは私と妻の結婚記念日だ。
私は今年こそはと、計画に計画を重ねて練って練って完璧に仕上げた。
仕事でもここまではやらない!
 妻の好きなワインも買った。
当然、欲しがっていたバッグも、それとなく聞いて買っておいた。

 大丈夫だ、よし!
外食でもと思ったが、子供がまだ小さい。
私の帰る時間には寝ている。
 仕事だけは何ともならなかった。
また別の日に外食すれば良かろう。
よし!問題無い。

 私は家の玄関を開けた。

「只今〜」

「お帰りなさい」

 いつもより機嫌が良い。
よし、それとなく気配を察したな。
 去年は完全に忘れていて。豪華な食事に、
誰かの誕生日か?と聞いて泣かれてしまった。
私の人生は何だったのって言われた。私は、

「いつから結婚記念日だ?!」

と、素っ頓狂な事を聞いてしまった。

「最初から」

との返事。
 確かに!一昨年はやったか?
う~ん、憶えていない。
だから私は仕事が忙しくて、と言うワースト3の言い訳を言って謝るだけだった。

 よし!今年こそは。
私は然りげ無く、後ろに隠していたプレゼントを妻に差し出した。大喜びだった。
妻は豪華な食事を用意していた。
よし!やったね!
 ワインを開けて二人で乾杯すると、妻が手を差し出した。
うん?プレゼントはやったけど?
お金くれってか?ボーナスではないし?
ふん?と首を傾げると、

「忘れたのね・・・」

と言って、怖い顔をした。

「なっ、何を?!」

と聞く私に。

「スイートテン、ダイヤモンド」

と言った。
 私は、あっ!!
そんな絡繰があろうとは!
誰だー!そんな風習を作った野郎は!
私は目の前が真っ暗になった。何てコッタイ!
 だが妻は、

「良いわ、お詫びに毎年、指輪を買ってもらうから。後10年」

と言った。
 離婚してなきゃ良いけど・・・、
その言葉は噛み潰した。

 終わり。


 平成30年2月16日初稿
 令和5年5月24日加筆修正。
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