第2話・裏サンタクロース

文字数 441文字

 その男は突然やって来た。
 雪の降る夜、2月だというのにやって来た。
8階のマンションのベランダに、突然現れ、
こう言った。

「メリークリスマス」

貼り付けられた笑顔で。
 彼の右手には、何故かアイスピックが刺さって、貫通しており。
ベランダに血がポタリポタリと滴っていた。
彼はまるで無頓着に、背中にからった袋から。
二人の幼い私の子供達のプレゼントを、差し出した。
血で汚れていたが、私はそれを震える手で受け取った。

 ふーっ、と子供達のため息で、私が振り返ると。二人の幼い子供達は、恐怖の顔で固まっていた。
 ハッとして、ベランダを見ると。
フォフォフォ、と言う笑い声と共に、その男は消えていた。
私は、飛び降りたのか飛び上がったのか、
それともトナカイのソリに乗っていったのか。
確かめるのを躊躇した。
ベランダには血の跡だけが残っていた。
私は血で汚れたプレゼントを、子供達に渡さず呆然としていた。

 それから二人の子供達は、

「サンタが来るよ!」

と言うと。
大人しく言う事を聞くようになった・・・。

 おしまい。
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