(二)-3

文字数 303文字

「もちろん有料だがな。でも、その辺の宿屋よりは格安にしておいてやる」
 この島は農業が盛んな町ではあったが、それ以外にこれといった産業も特になく、名所もなかった。そのため宿屋も少なく料金が高かった。泊まっていくには不便な場所なのだ。だから僕たちはその言葉に甘えて、ここに泊まることにした。

 部屋にあまり多くない荷物を置くと、このあと何をするか、アンドレアと話し合った。
「マルコのお父さんがここにいたなら、ジーノという人以外にも知っている人がいるかもしれないよ」
 確かにアンドレアの言うとおりだ。
 ということで、僕たちはまだ日が明るいうちに町へ出て、父の事を知っている人がいないか聞いて回ることにした。

(続く)
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