(二)-11

文字数 313文字

 そんな頃合いに、僕は海上をまっすぐこちらに方向転換して進んでくる船を見つけた。三角帆を付けた船ではあったが、あまり見かけない、細長い船体の船だった。
 しばらくすると船は桟橋に近づいてきて、停まった。
 僕は「あれを見ろよ」とアンドレアを起こした。
 船は細長く、三日月のように前後の舳先(へさき)が上に尖っているような感じの船だった。しかもその船に乗っている水夫は皆頭に布を巻いていた。
 頭に布を巻く水夫は多い。細長い布を広げておでこの上辺りから頭に被せるように覆って、後頭部で結ぶのだ。そういう巻き方が多い。しかし、あの船の船員たちは違っていた。彼らの布はまるでとぐろを巻いた蛇のようにぐるぐる巻きにして頭の上に乗せていたのだ。

(続く)
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