第12話 ある種の終着点
文字数 634文字
ぼくが目を覚ますと、やはり黒田が運転するバスのなかで、そしてバスは止まっていた。
バスには乗客がぼくを除くと6人いた。やっぱり獣の数字。
でもぼくを含めると7人で、今度は完全数 となる。
ぼくの悪い癖だから仕方はないけれど、あまり
なぜなら、そうすることによってぼくのなかでどんどん
ぼくはそうした思念を振り払うために、2、3回儀式性を帯びた首振りをする。
「やっと、起きられましたね」と黒田はこちらを振り返って例のチェシャ猫的ニヤニヤ笑いをする。「ここがあなたの
抵抗したって無駄だろうなぁ、とぼんやり考えながら、ダラダラとバスを降りる。
いったいここはどこなんだろう? ぼくは辺りを見回した。
とても広い敷地に豪奢 で瀟洒 な建物が立っている。
一見すると
バスには乗客がぼくを除くと6人いた。やっぱり獣の数字。
でもぼくを含めると7人で、今度は
ぼくの悪い癖だから仕方はないけれど、あまり
物事に意味を持たせすぎてはいけない
。なぜなら、そうすることによってぼくのなかでどんどん
世界が一つに収縮してしまう
からだ。ぼくはそうした思念を振り払うために、2、3回儀式性を帯びた首振りをする。
「やっと、起きられましたね」と黒田はこちらを振り返って例のチェシャ猫的ニヤニヤ笑いをする。「ここがあなたの
ある種の終着点
です。ある種の目的地
と言ってもいいです。つまりはおなじことですから。いずれにせよ、あなたは先ほど目的
を気になさいましたね。この場所がひとつの答えとなるかもしれません。ただ、私はただの使い走りにしか過ぎません。もっと大いなる存在
がいらっしゃいます。その方が私たちを導いているのです。ここからはポイント・オブ・ノー・リターンです。引き返せません。さぁさぁ、降りてください」と、黒田はぼくと他の乗客をバスから降ろそうとする。抵抗したって無駄だろうなぁ、とぼんやり考えながら、ダラダラとバスを降りる。
いったいここはどこなんだろう? ぼくは辺りを見回した。
とても広い敷地に
一見すると
宗教施設
に見えなくもない。宗教施設
? いったいなんだってぼくはそんなところに連られてこなけりゃいけないんだ?