第15話 すべては形式から

文字数 395文字

 その施設(宗教施設、なのか?)のなかに入ると、床は総大理石で天井まで吹き抜けの造りになっていた。
 なんだかすごく俗っぽいなぁ、まるで平屋(ひらや)日本家屋(にほんかおく)の玄関を入るとすぐに虎の剥製(はくせい)があるような感じだ。もちろん庭には池があって錦鯉(にしきごい)が泳いでいる、というような。

「あなたたちが『俗っぽい』と思っていることはわかりますよ」、黒田がニヤニヤ笑いをしながら言う。「私たちのグル−−

のことをそう呼んでいるのですが−−は『まずは形式から』というお考えなんですよ。パスカルも言っているでしょう、信仰に達したいと思うのならば『すでに信じているかのようにすべてを行なうことなのだ』ってね。まさにそのとおりですよ。形式が内容を形作るんです。巷間(こうかん)に考えられているようにその逆ではなくてね。さぁさぁ、話はあとでもたっぷりとできますから、まずは先へ進みましょう」

 ぼくたち7人は足取りも重く、先へノロノロと進む。
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