第9話 予兆

文字数 369文字

 666という獣の数字。
 ぼくはホテルから飛び出しながら映画『オーメン』を思い出す。
 主人公・ダミアンは額に666の数字が書かれている悪魔の子という設定だった。
 もちろん、元ネタは聖書中の「ヨハネの黙示録」だろうけれど、「世界の終末」が近いのだろうか。「ヨハネの黙示録」には「世界の終末」が訪れる前に7回ラッパが鳴ると書かれていたような気がする。そして

、とも。今回の

はそれこそオーメン(=予兆)なのだろうか。

 いずれにせよ、逃げなければいけない、ここではない、どこか遠くへ−−。

 ぼくは新宿駅から出ている深夜バスに乗り込むことにした。
 目的地は決まっていない。でも、行かなければいけない。

 一番早く出発するバスに乗り込んで、一番前の座席に座ったところですこしホッとする。
 運転手がぼくの方を振り返った。
 黒田だった。
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