第14話
文字数 2,856文字
標準的なRAを遥かに凌ぐ巨躯 (全高18mのウォリアーに対し
リオネルによって目覚めさせられた〝規格外〟の重RAは、
ダークブルーに塗られたその姿は、
こうして
一方、ヘクセンハウスを守る側もまた、その
ミュラトール商会の会頭の肩書で行動していたホレイシオ・メレディスは、途中、重要な任務で送り出したミレイア・ダナが消息を絶った際、自らRAを駆って救出に出ている。
図らずもこのとき、リオとメレディスは同じ空域ですれ違っていたのだが、このときには双方が救難者の揚収に徹したこともあって何も起こりはしなかった。(……クワバラクワバラ by同じシーンに居た
その後メレディスは、速やかにヘクセンハウスの周辺を固めている
*
「早かったな。新型の
「いや、シュヴァリエは5機だ。途中で1機を失ってしまった……すまない」
上機嫌のカッペッリに、メレディスは手土産として持ってきた新鋭
「いや、5機であろうと君が来てくれたこと
その言葉を耳にしたとき、メレディスは口許を薄く歪めてみせたろうか……。
だが、彼が口にしたのは殊勝な言葉であった。
「プロセルピナは私ごときでは性能を十分に発揮できない。パイロットはこの娘だ」
その言葉に
カッペッリは、値踏みするように少女の細い身体を見遣ると訊いた。
「──…〝
「はい」
「期待しよう」
簡潔に応えた少女に、
*
一方──。
コモンウェルス、ミナーヴァ、トールボットの3隻の宇宙巡洋艦で臨時に編成された巡洋艦戦隊は、月の重力に引かれたヘクセンハウスとそれを取巻く
連邦軍の戦力は各ラグランジュ点に分散しており、さらには〝どの部隊が
連邦宇宙軍諸隊の各指揮官は、当に現場の判断で大質量兵器と化したヘクセンハウスを追っている。
直前の
出撃の直前で慌ただしいRAデッキを流れて行く各パイロット…──。
その中の一人となったリオネル・アズナヴールは、他のパイロットから離れ、解放RAデッキに唯1機ワイヤーで固定された重RAディース・パテルへと流れて行く。
コクピットに収まったリオが最終チェックで一通りコンソール周りに視線を走らせていると、ハッチから小柄なパイロットスーツが潜り込んできた。
しばらくは言葉なく
《なんであたしを無視するわけ? あなたも、中尉も》
ラウラ・コンテスティ少尉だった。
そんなラウラに、リオは面倒そうに言う。
《相変わらずの
《フラグって……》
リオの
リオがそのラウラの動きを制して、自らのヘルメットをくっ付けてきて言った。
《──…ラウラ……戦闘が始まったら、決して中尉から離れちゃいけない…──いいね?》
初めて〝ラウラ〟と
いつもと様子が違うリオに、何かを感じるラウラだったが…──。
その後すぐ、ラウラが〝うん〟と応えるよりも早くに、彼女のパイロットスーツはコクピットから押し出されてしまっていた。
ラウラは後ろ髪を引かれる想いを残し、自分の新しい乗機 (それまでリオが乗っていた
*
「敵先鋒、距離…──
「……敵巡洋艦群先鋒よりRAの射出を確認! 数は10
「──…全天を再度走査、確認します……月周辺の動向はどうなっていますか?」
飛び交うオペレータの声を拾いながら、指令席のカッペッリは、艦長席の艦長とその前に立つメレディスとに問い掛ける。
「思ったよりも早いな……主力は
万事に慎重を期す艦長に代わり、メレディスが応えた。
「戦力が集まるのを待てないのが一つ…… それと、どれが敵でどれが味方の部隊かを信じかねるのだろう…──何れにせよ、各自が最善を尽くしているのさ」
「……つまりは〝烏合の衆〟、ということか」
カッペッリは、メレディスに向いて薄く嗤った。
「皮肉なものだな。一歩間違えれば、我らこそそうであるのにな」
パイロットスーツ姿のメレディスは、そんなカッペッリに嗤って返す。
「──…私もそろそろ出るとしよう」
そう言って、RAデッキへと下りるため主幹エレベータに向き直る。
「最終
背中越しに届いた
──イニャーツィオ…… 君は良い人物だが、時代と人を見る目には恵まれなかったな……。