第9話

文字数 523文字

 兄が協力してしまえば現れる世界……

 保安、諜報、防衛それぞれの機関の高官から該経緯の説明を受けた政府首脳は事態を悲観する。
 ありのままに説明しても、これでは国民をハッピーにできない。そう結論して、
「作戦は成功裡に終結した」とだけ公表する。

 その翌日に関東東海地域に発生した巨大津波と各地での毒素の発生、とつぜん泣きだして水と化し地面に崩れる人々……
 霞ヶ関を中心に半径20kmほどが陥没し火と煙があがる画像を最後にインターネットは世界規模で接続を失う。

 そのようにも膨大で、不可思議な出来事のあとで、それらのことが起きたことも知らないぼくたちは、海岸で波に足を舐めさせ、立ち止まり歩いては、お互いの存在に感謝するしあわせな時間をすごしている。

 時が移り、やがて巨人が入道雲のように地平線にむくむくとした姿を浮かべる夏の盛りがやってくる。
 赤松の一本が、うちがわからジッパーが開くように裂けて、中から目隠しされた子供がみえる。
 なにもわからずに駆け出したその子供は、松林を闇雲に駆けた子供は、木の根にひっかかり、もんどりうって倒れ、10メートルはあろうかという大蛇に巻きつかれ、気絶し、丸呑みされる。
 その瞬間、正午だというのに空が真っ暗になる。
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