3.ESO

文字数 826文字


 E(English) S(Speaking) O(Organization). 通称、ESOというのが僕の所属するサークルだった。英会話サークル。男女共に健全に共存が出来そうで、インテリジェンスさも兼ね備えている。部員達の意識も高そうで、サークル選びに迷っている全ての君たちにおすすめすることの出来るESOの持つ看板のイメージには、丁度年頃の我々が抱きがちな理想の自分へのステップアップ、的な要素を満載に含んでいるかのようついつい錯覚をしてしまう。自分がもっと、今よりも立派な大人になっていけるような、魅力的な将来の絵が浮かんでは来ないかな? そうそう、でも、もう気付いてる人も多いと思うけど、真の姿は全然そんなものじゃない、理想と現実は、一旦脇に置いておいて、この美味そうな香りに釣られてやって来る新入生は毎年ほんとうにたくさんいたんだけど、実際にそういった人たちはあまり入部するまでには至らずに、真剣に英語を学びたい賢い君なら、とっくにTOEFLでも交換留学でも使って、あっという間に海外に飛んで行っちゃうだろう。このサークルでも、真面目に英語活動しているのは全体の約二割程度で、残りは大学での自分の居場所とか、憩いの場として参加しているのが大半なんだ。でもこれって、サークルの本質をズバッと突いてて、まさに本質を具現化したようなこのサークルは、ごくごく普通のサークルそのものなのである。別に誇れないけど、日夜勉強に努めなければならない僕たちにとっては必要なことかもしれないでしょう?実態がまるっきり同じものであるにもかかわらず、その色合いや放っている空気感は全く別の物になるから、サークルというものはいつでも面白いし、なんだろう、やめられない? 数あるその色合いたちの中から僕らのだけのカラーを見つけ、選び抜いてくれた君であれば、僕たちはいつでも心から歓迎するし、きっと君も、君のインナーチャイルドも楽しい思い出をたくさん作っていけると思うよ。
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