エンタテ大会準備!
文字数 1,494文字
先日、公開したばかりのエンタテグループの一、二年生が、エンタテの準備という名のお楽しみ会のようなノリで賑わっている廊下に着くと、201と書かれた教室のドアの前に立った。ドアノブを掴み、そおっとゆっくり開けた途端、思わず二人して二度見してしまった。広めの教室の隅に、何枚も重ねられた段ボールが立てられていて、そこから顔を出している優太と目が合った。
「あ!洋平さん!健吾さん!」
優太も気付いてその段ボールの中から出ようとしていたが、二年の上級生らがそれを押え、「優太ダメ、隠れろ隠れろ」と彼をその段ボールの中に再び押し込んだ。よく分からない光景を開口一番目の当たりにし、「なんだあれ、ここ小林のグループだよな?」という健吾のセリフに黙って僕も頷いただけだったが、そんな僕らを見て、二年生のエリカが、「すいません、ちょっと二人とも廊下で話しませんか?」と言われるままに教室出ると、真っ先に健吾が口を開いた
「何だあれ!何?何で隠すんだよ」
健吾と全く同感の僕も、エリカに同じく熱い視線を向ける。僕と健吾のその視線を宥めるようエリカが、「えーと、今ちょっと秘密なんです、洋平さんと健吾さん先見ちゃったら詰まんないじゃないですか」といたずらするように笑った。
「秘密かよ、気になるわ。何あの段ボール」健吾が言った。
「あれ関係ないですよ。ただの更衣室です」
「更衣室」僕と健吾の声が重なった。
「更衣室って、何、どういうこと?」
「もう、更衣室ですよだから、衣装とかも考えてるんです」
「衣装。すげぇーな、今年は、てか、もはやあの段ボールの方が面白そうじゃね」
そう言われ、確かにと思ったが口にしなかった。
「はいはい、分かりましたから、もういいじゃないですか、他のグループのとこ行ってくださいよ」
煙たがるように我々の背中を押し出しながらエリカはそう言いい、再び教室に戻ろうとしたが、急に彼女は振り向いて、
「あ、でも洋平さん、優太このグループにしてくれてありがとうございました。あの子めっちゃ面白い」
「イケメンだけど闇があるからね」
「そうそれ、イケメンなのにめっちゃ闇深いあの子」
エリカが笑って手を叩いた。健吾が何だそれと言ってぽりぽり頬を掻いた。
「雪掻きの話とか聞いた?」
そう尋ねると、長めの茶色く染めた髪を揺らしながらうんうんと頷き、「あれは最高です」と言って笑った。
「雪掻きって何?」
「今度優太に聞いてみな」
「やっさんのグループの部屋、隣ですよ」とドアから顔だけ出してエリカがお楽しみと言ってドアを閉めた。
僕と健吾はやっさんのグループのいる部屋を少しだけ外から覗き、やっさんと竜斗が戯れていることを確認してから、他のグループもちらほらと見に行った。どこもなかなか盛り上がっているようだったので、邪魔にならぬよう外へ抜け出し、ベンチで自動販売機の紙パックの野菜ジュースを飲みながら休憩した。
「今年はやばいな」
健吾が膝を突き上げた。後二秒、健吾が言うのを遅らせていたら、僕の言うセリフだった。
「エンタテってこんなんだっけ」
残りのジュースを飲み切ってしまい、抑えきれない高揚感で声が上がってしまった。
「やべ、超楽しみだわ」
「エリカがもう先輩やってるよ」
「そうか、洋平のグループやっさんとエリカいたのか、やべえメンツ」
「景介もいてさ」
「景介(笑)、あいつまだプロボクサー目指してんのかな」
「分かんない、やめちゃったし」
「そっか」
そう言って健吾はうーんと言ってあくびした。それから、「回るねえ、時代は回ってく」と言って、紙パックに刺さったストローをくるくるいじり始めた。
「回るねぇ」
僕も言った。
「あ!洋平さん!健吾さん!」
優太も気付いてその段ボールの中から出ようとしていたが、二年の上級生らがそれを押え、「優太ダメ、隠れろ隠れろ」と彼をその段ボールの中に再び押し込んだ。よく分からない光景を開口一番目の当たりにし、「なんだあれ、ここ小林のグループだよな?」という健吾のセリフに黙って僕も頷いただけだったが、そんな僕らを見て、二年生のエリカが、「すいません、ちょっと二人とも廊下で話しませんか?」と言われるままに教室出ると、真っ先に健吾が口を開いた
「何だあれ!何?何で隠すんだよ」
健吾と全く同感の僕も、エリカに同じく熱い視線を向ける。僕と健吾のその視線を宥めるようエリカが、「えーと、今ちょっと秘密なんです、洋平さんと健吾さん先見ちゃったら詰まんないじゃないですか」といたずらするように笑った。
「秘密かよ、気になるわ。何あの段ボール」健吾が言った。
「あれ関係ないですよ。ただの更衣室です」
「更衣室」僕と健吾の声が重なった。
「更衣室って、何、どういうこと?」
「もう、更衣室ですよだから、衣装とかも考えてるんです」
「衣装。すげぇーな、今年は、てか、もはやあの段ボールの方が面白そうじゃね」
そう言われ、確かにと思ったが口にしなかった。
「はいはい、分かりましたから、もういいじゃないですか、他のグループのとこ行ってくださいよ」
煙たがるように我々の背中を押し出しながらエリカはそう言いい、再び教室に戻ろうとしたが、急に彼女は振り向いて、
「あ、でも洋平さん、優太このグループにしてくれてありがとうございました。あの子めっちゃ面白い」
「イケメンだけど闇があるからね」
「そうそれ、イケメンなのにめっちゃ闇深いあの子」
エリカが笑って手を叩いた。健吾が何だそれと言ってぽりぽり頬を掻いた。
「雪掻きの話とか聞いた?」
そう尋ねると、長めの茶色く染めた髪を揺らしながらうんうんと頷き、「あれは最高です」と言って笑った。
「雪掻きって何?」
「今度優太に聞いてみな」
「やっさんのグループの部屋、隣ですよ」とドアから顔だけ出してエリカがお楽しみと言ってドアを閉めた。
僕と健吾はやっさんのグループのいる部屋を少しだけ外から覗き、やっさんと竜斗が戯れていることを確認してから、他のグループもちらほらと見に行った。どこもなかなか盛り上がっているようだったので、邪魔にならぬよう外へ抜け出し、ベンチで自動販売機の紙パックの野菜ジュースを飲みながら休憩した。
「今年はやばいな」
健吾が膝を突き上げた。後二秒、健吾が言うのを遅らせていたら、僕の言うセリフだった。
「エンタテってこんなんだっけ」
残りのジュースを飲み切ってしまい、抑えきれない高揚感で声が上がってしまった。
「やべ、超楽しみだわ」
「エリカがもう先輩やってるよ」
「そうか、洋平のグループやっさんとエリカいたのか、やべえメンツ」
「景介もいてさ」
「景介(笑)、あいつまだプロボクサー目指してんのかな」
「分かんない、やめちゃったし」
「そっか」
そう言って健吾はうーんと言ってあくびした。それから、「回るねえ、時代は回ってく」と言って、紙パックに刺さったストローをくるくるいじり始めた。
「回るねぇ」
僕も言った。