禁書「はじまりの灯火」【3】
文字数 1,349文字
あたしと、とーるくんは、巨大な城壁に囲まれた城下町の出入り口に当たる、城門の前まで来ていた。
城壁の上には、当然のように見張りがおり、あたしたちに気付いた男に止められた。
魔術で見張りを精神操作したり、技術で透明になりやり過ごすこともできるが、基本的にはしないようにしている。
それは、”異世界”を旅するルールに反するし、”異世界”の仕組みや人、文化を知る楽しみもあるからだ。
”異世界”で言葉や文字が理解できない問題は、技術と魔術が解決してくれる。
例えば、耳につけている探知機はエネルギーを観測することができる。声も空気の振動というエネルギーであるし、テレパシーも魔術エネルギーである。
それらのエネルギーパターンを探知機に蓄積したデータの中から類似するものを見つけ、あたしがわかる言語に翻訳しているのだ。
こちらが話す時は、技術と魔術を併用する。あたしが発した言葉やテレパシーを魔術に入力する。先程解析した探知機のデータを通して、魔術で正確に相手に伝えられる言葉やテレパシーに変換するのだ。
とーるくんは、その両方を魔術で行っている。この場合は、魔術で直接読み取ったり、伝えていることが多い。
あたしも魔術で直接、意思を伝えることができるが、正確性に欠けることもあるので、技術と魔術を併用している。人間という、魔術に向いていない種族であることも要因であるだろう。
城壁の上にいる見張りに、あたしたちは旅をしているイリュージョニストだと伝えるとすんなりと入場を許可された。
大抵、どの”異世界”でも、概ねいつもは訝しがられるのだが、この”異世界”ではそれどころか、イリュージョンをしても良い場所までご丁寧に教えてくれたのだ。
「どこかへんだねぇ。でも、イリュージョンができるなら問題ないよ。」
本来は注意を払うべきところであるのは百も承知だが、あたしは水を得た魚みたいな気持ちで浮足立っていた。
「すい?!いくらイリュージョンを3回も連続でできていないからと、警戒しなさすぎです!」
「大丈夫だよ。このくらいの文明の進歩なら、あたしの魔術と技術でなんとでもなるからね。はやく広場まで行こうよ!」
耳の探知機で調べても、目立った脅威は見つからない。ただ、1つだけ目立つ反応はある。それでも、あたしにとって脅威とは言えないレベルであった。
城門の作りを見ても、技術レベルは地球で言うところの近世くらいだ。
魔術レベルも耳の探知機の情報から推測するに、魔術が使えるだけの”異世界”のようである。
それは、火の玉を飛ばしたり、傷を治したりする程度で、建物を吹き飛ばしたり、死人を蘇らせるほどの魔力をもった者は観測されていない。
もしかすると危険が隠れている可能性もないことはないが、イリュージョンがしたくてたまらないので、比較的安全な”異世界”という評価にする。
つまり、イリュージョンを問題なく披露できる、あたしにとっては願ってもない”異世界”と結論付けた。
「いつものすいは、もっとしっかりしているのですが……イリュージョンができていない禁断症状がでてしまっています。ぼくがしっかりしないといけません!!」
お互いに燃える思いを心に秘め、2人は足早にイリュージョンを披露できると言われた広場へと向かった。
城壁の上には、当然のように見張りがおり、あたしたちに気付いた男に止められた。
魔術で見張りを精神操作したり、技術で透明になりやり過ごすこともできるが、基本的にはしないようにしている。
それは、”異世界”を旅するルールに反するし、”異世界”の仕組みや人、文化を知る楽しみもあるからだ。
”異世界”で言葉や文字が理解できない問題は、技術と魔術が解決してくれる。
例えば、耳につけている探知機はエネルギーを観測することができる。声も空気の振動というエネルギーであるし、テレパシーも魔術エネルギーである。
それらのエネルギーパターンを探知機に蓄積したデータの中から類似するものを見つけ、あたしがわかる言語に翻訳しているのだ。
こちらが話す時は、技術と魔術を併用する。あたしが発した言葉やテレパシーを魔術に入力する。先程解析した探知機のデータを通して、魔術で正確に相手に伝えられる言葉やテレパシーに変換するのだ。
とーるくんは、その両方を魔術で行っている。この場合は、魔術で直接読み取ったり、伝えていることが多い。
あたしも魔術で直接、意思を伝えることができるが、正確性に欠けることもあるので、技術と魔術を併用している。人間という、魔術に向いていない種族であることも要因であるだろう。
城壁の上にいる見張りに、あたしたちは旅をしているイリュージョニストだと伝えるとすんなりと入場を許可された。
大抵、どの”異世界”でも、概ねいつもは訝しがられるのだが、この”異世界”ではそれどころか、イリュージョンをしても良い場所までご丁寧に教えてくれたのだ。
「どこかへんだねぇ。でも、イリュージョンができるなら問題ないよ。」
本来は注意を払うべきところであるのは百も承知だが、あたしは水を得た魚みたいな気持ちで浮足立っていた。
「すい?!いくらイリュージョンを3回も連続でできていないからと、警戒しなさすぎです!」
「大丈夫だよ。このくらいの文明の進歩なら、あたしの魔術と技術でなんとでもなるからね。はやく広場まで行こうよ!」
耳の探知機で調べても、目立った脅威は見つからない。ただ、1つだけ目立つ反応はある。それでも、あたしにとって脅威とは言えないレベルであった。
城門の作りを見ても、技術レベルは地球で言うところの近世くらいだ。
魔術レベルも耳の探知機の情報から推測するに、魔術が使えるだけの”異世界”のようである。
それは、火の玉を飛ばしたり、傷を治したりする程度で、建物を吹き飛ばしたり、死人を蘇らせるほどの魔力をもった者は観測されていない。
もしかすると危険が隠れている可能性もないことはないが、イリュージョンがしたくてたまらないので、比較的安全な”異世界”という評価にする。
つまり、イリュージョンを問題なく披露できる、あたしにとっては願ってもない”異世界”と結論付けた。
「いつものすいは、もっとしっかりしているのですが……イリュージョンができていない禁断症状がでてしまっています。ぼくがしっかりしないといけません!!」
お互いに燃える思いを心に秘め、2人は足早にイリュージョンを披露できると言われた広場へと向かった。