第2回 カーキ万能説

文字数 1,267文字

長年の疑問がある。

カーキって何色なの?

ということだ。

いや……カーキってのはそもそも色の名前だからね……
という憐れみの視線を感じます。違うんです違うんです。

カーキって定義あいまいじゃない?
オリーブ色っつーか、深緑みたいな印象もあれば。
黄土色みたいなイメージもあるし。
なんか絶妙なグレーを狙ってる気配もあるし(どんなだ)。

ググれカス。
とか言われそうなのでググる。
Wikiさん曰く「土埃を意味する言葉で、淡い茶系色を指す」。

ほら、あいまいじゃない!
土埃なんて幅広いじゃない!


その昔、クリーニング屋でバイトをしていたことがある。
クリーニング屋のレジは、預かった衣類の特徴をそのまま打ちこむ仕様になっていた。
例えば、
「ブルー」の「セーター」
「黒」の「スラックス」
「縞」の「シャツ」
といった具合に。
なもんで、店員は瞬時に色や柄と品名の組み合わせを考えて打つのです。


そのときに私は初めて出会ったのだ……「カーキ」に!

超絶無知だった私は「カーキとはなんぞや」と色の名前かどうかも判断がつかなかった。
で、なんとなーく雰囲気で「ああ、色なんだ」「ううん、こんな感じの色味か?」と手探っていた。当時はググれませんでしたからね!(時代!)

でも、なんとなーくでしかつかめなかった「カーキ」だったので、もう逆転の発想で、

「もうなんだかわからん色は、全部カーキなのでは?」

と吹っ切れ、そこからはわからなければ「カーキ」と区分する暴挙に出ました(最低のバイト)。

「カーキ」の「セーター」
「カーキ」の「スラックス」
「カーキ」の「シャツ」

おお、あいまいなものって万能じゃないか。
実際、「おい、これのどこがカーキなんだ!」ってクレームつけてくるお客さんもいなかったし、実は皆「カーキ」ってどんな色だかよくわかってなかったんじゃないの説が(私の胸中だけで勝手に)浮上。


まあ真面目な言い訳をしておくと、もともとほんのり色弱傾向疑惑がある私。
グレーと緑の違いが微妙で、よく周りに「え?」という顔をされます。
もしかして「カーキ」があいまいなのも、私の見え方のせいやもしれない。
が、しかしもっと真面目な話に持ちこむと、そもそも色の見え方に正解なんてなかろうて。
同じ「赤」でも、きっと濃淡や明度は人によって違うはず。
ただ、それを確認する術と表現する語彙がないから「赤」で済ませているだけ。

さらにさらに真面目な結論に落ちつこう。つまり世の中はすべてあいまい。
この世は「カーキ」色ってことです(真面目か?)。

あいまいなものは万能。
この柔らかな思考をあらゆる場面で持ちあわせていたいもんです。
どうも最近、頭がかちんこちんでいけない。
私が石頭なのはもちろんですが、世の中すべてがBlack or White(マイケルジャクソンではない)でいけない。

世の中はもっと「カーキ」でいい。

ところで今、私が着ているカットソーも微妙な色なんだよな……
何色なの、これ?
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