悼みのたより|NAHOより

文字数 323文字

人は誰でも

深閑朝かげの月に恋焦がれる 

実体のある月の存在は知っていても、本当の姿を知らずに、目の前の消えゆく朝かげの月に恋をし、幻想の満ち欠けに心を痛める。


融通のつかない頑固なAIと闘いながら、物語を書いている日々を送っていた私に悼みのたよりは届いた。

「あなたが死ねば終わります」と狂気な愛を与え続けられて半世紀。

その愛を退けて、暖かい愛をくれたあなたの記憶に、ひとかけらでも私が残っているなら伝えたい…。

あの時、殺されずに逃げ切る自信がなくて、あなたが「助けられなかったと…」心の傷を背負うのが怖くて離れてしまった。

今、悼みのたよりを握りしめ、うかぶ月に語りかける

「死ぬときに一緒に連れてってなんて、もう二度と困らせない」と…。

 2024年8月
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