25、カサ・ナタルについて知る

文字数 912文字

 何年も前に間違って購入したスペイン語のミゲル・セルベートの伝記は、1度は序文で挫折しそうになったが、スペイン語教室に通うのを再開したのをきっかけに、再び読み始めた。今度は直接本文から読み、生涯の部分が面白くてどんどん読み進めることができた。どんどんと言っても、1日に読めるのは1段落位、1ページ読むのに何日もかかった。でもそうやって苦労してスペイン語の本を読んでいたので、ミゲル・セルベートの人生がまるで自分の体験のように強く心に残った。

 そして、美味しいスペイン料理を食べたのがきっかけで、本気でスペインに行くことを考えた。最初は本に書いてある通り、ミゲル・セルベートの生まれ故郷はナバラ王国のトゥデラと信じていた。だが、ちょうど彼がフランス国籍を取り、その時の資料で出身地を明らかにしているという部分を読み終わった頃、インターネットでまったく別の情報を偶然目にした。

 それまではネットでは主にバルセロナの観光地やホテルについて日本語で調べていたのだが、たまたま思いついてスペイン語でMiguel Servetと入れ、検索してみた。そこで出てきたのが、『カサ・ナタル』である。カサ・ナタルとはスペイン語で『生まれた家』というような意味、写真付きのスペイン語の文を読んで、どうやらアラゴンにミゲル・セルベートの生まれた家があり、そこを改修して資料館のようになっていることがわかった。『カサ・ナタル』についての情報は、本とは違ってミゲル・セルベートの出身地がアラゴンであると信じる研究者が作ったホームページの1部分で、そこにはミゲル・セルベートに関するあらゆる情報、生涯、著作、研究書、銅像のある場所などが載っていた。そのすべてを読んではいないが、『カサ・ナタル』の部分だけは丁寧に読んだ。

 『カサ・ナタル』はアラゴンにあるミゲル・セルベートの家を改修し、ちょうど2011年、生誕500年を記念して除幕式が行われたようである。普段は土曜日、日曜日しか開いてないが、ちょうどその年、彼の命日は土曜日だった。命日に『カサ・ナタル』を訪れることを決め、私のスペイン旅行はこの時からアラゴンを中心に行くようにと予定が大きく変わる。



 
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