深淵の黒鶴 わたしたちは一対の翼なのだから
加茂野茉凜は、背の高さにコンプレックスを抱える十六歳。ある理由から旅を続けていた。そして、旅先で彼女より少し背の低い美しい少年と出会う。しかし、その少年は獰猛な獣のように彼女に鋭い視線を向け、冷たく彼女の旅の理由を否定する。憤慨した茉凜はその場を去るが、少年の寂しげで儚げな雰囲気が気にかかり、翌日再びその場所に足を運ぶ。
二人の出会いは、深淵の血族と呼ばれる異能結社によって引き起こされる運命の序章であった。茉凜は、少年との関係を通じて、彼女自身の運命と向き合うことになる。
少年の名は弓鶴。深淵の四つの色の流儀の規格から外れた番外の色を持ち、敵対する術者の蓄積した力をすべて奪い、相手の持つ流儀さえ取り込んでしまう、底なしの器と怖れられ、厄災の象徴とも希望の象徴ともされる存在。その名は「黒鶴」。
黒髪のグロンダイルの前日譚。加茂野茉凜が主人公の物語。
目次
連載中 全12話
2024年09月04日 07:48 更新
- 第1話 加茂野 茉凜が旅する理由 公開日: 2024/09/02
- 第2話 冷酷王子との出会い 公開日: 2024/09/02
- 第3話 石与瀬観光 公開日: 2024/09/02
- 第4話 冷酷王子の納得 公開日: 2024/09/02
- 第5話 冷酷王子と町娘と深淵からの使い 公開日: 2024/09/02
- 第6話 冷酷王子と深淵の使者の交渉と怯える町娘 公開日: 2024/09/02
- 第7話 冷酷王子と深淵の術者と怯える町娘 公開日: 2024/09/02
- 第8話 冷酷王子の闇の黒 公開日: 2024/09/03
- 第9話 暴走する冷酷王子と町娘 公開日: 2024/09/03
- 第10話 冷酷王子に町娘が届けたいもの 公開日: 2024/09/03
- 第11話 冷酷王子から伝わってくるもの 公開日: 2024/09/03
- 第12話 冷酷王子と町娘 公開日: 2024/09/03
登場人物
わたし=加茂野 茉凜 かもの まりん
年齢十六歳で身長は百七十三センチ。高身長女子ならではの悩みを抱えている。表向きは明るい性格でとてもポジティブ。逆境こそ燃えるタイプ。でも、心はありきたりの女子なので、思い悩むことも多々ある。
自分より少しだけ背が低い弓鶴くんが気になっている。
一年ほど前に落雷事故に遭って、奇跡的に生還したものの、左腕から先は不自由になっている。特に左手はほとんど動かない。
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