応仁の足軽戦記
応仁の乱。
混迷を極める騒乱の中、歴史の表舞台に颯爽と登場し、時代を変えた「足軽」たちの活躍を描く。
「応仁記」の「醍醐山科合戦の事」という項に骨川道賢という名前が登場する。細川勝元旗下の足軽として稲荷に陣取る男がそれである。彼は畠山義就以下の軍勢に敗れることとなるが、後に詠み人知らずの落書によって歴史にその名を残すこととなった。
彼こそ応仁の乱前後に活躍し、日本の戦を個人戦から集団戦へと変化させた立役者、「足軽」もしくは「足軽大将」であり、その代表者として位置づけられている者である。他にも朝倉軍の高野藤七、畠山義就軍の御厨子某も足軽大将として今日まで名前が伝わっている。
彼らは足軽として混迷の世を縦横に活躍した。しかし、彼らが本作でいうところの「賊」であったかどうかは筆者の推測によるところでしかない。
ただ、信じたかっただけである。彼の時代に歴史を左右するほどの活躍をした男たちがただの荒くれではなかったということを。彼らが僅かな一時のみ光を放った存在ではなかったということを。
そうした思いが御厨子「某」を御厨子「飢左衛門」へと昇華させた。
目次
連載中 全13話
2023年08月20日 22:33 更新
登場人物
御厨子飢左衛門(みずしきざえもん)
40を過ぎているものと思われるが、拾われ子であるため正確な年齢は不明。
畿内でも有数の大規模賊集団の頭領として、同業の中では多少、名を知られた存在。
畠山義就(はたけやまよしなり)
三管領家の一つ、畠山家の家督を争う人物。
昨今における争乱の火種の大半はこの男が関わっていると言って差支えなく、またその舞台が御厨子党の地盤と被るため、飢左衛門はその存在を嫌悪している。
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