快速サロ

文字数 853文字


 昔々、いまの関東地方と同じように、大阪緩行線の快速電車にもグリーン車が連結されていた。
 113系の時代ね。
 それがいつの間にやら、

「大阪人はシブチンやで、誰も乗りよらへん」

 という理由かどうかは知らないが(いや、そういう理由だと思うが)、グリーン車は廃止されてしまった。

 これらサロについて、以下はあまりに有名すぎる話かもしれない。
 
 列車に乗務する車掌は、多くの場合、列車の最後尾にあるクハやらクモハやらに陣取る。
(名鉄のパノラマカーの車掌はどうするのかと思っていたら、連結面側に、専用の小さなスペースが確保してあるのだね)

 しかし列車編成によっては、車掌が最後尾ではなく、編成中間あたりのサロに陣取ることもある。
 この場合、ドアの開け閉めはどうするのか? 

 サロには乗務員ドアがない代わりに、客用ドア(ハザのドアよりも幅が狭い)に面して、ドアスイッチが備えてあるので、それを用いてドア扱いを行う。

 しかも、備えてあるスイッチは、それぞれ2つ。
(右側ドアに2つ。左側ドアに2つ)

 なぜ各扉に2つもあるのかというと、戸閉時、まずはスイッチ(ア)を用いて、今自分がいる「以外」のドアを閉め、そのあと自分が車内に乗り込んでから、スイッチ(イ)を用いて、自分が今いるこのドアを閉めるという行動を車掌はする。

 そのためにドアスイッチが2つあるのだが、どっちがどっち?
 同じ形のスイッチが、まるで双子のように壁に並んでいるのだから。

 もちろん(ア)(イ)というのは、説明上私がつけただけだからね。

 どっちのスイッチで自ドアが閉じ、どっちのスイッチで残りの全ドアが閉じるのか、間違えたら大変なことになる。

 その区別がしやすいよう、それぞれのスイッチには大きな文字が書かれていた。

 さあさ、ここで問題です。
 客用ドアのわきなのだから、お客さんの目にも触れまくる場所です。
 どう表記すれば格調高く、かつ間違いが起きにくいでしょうか。

 こう書いてあったんですよ。

自ドアスイッチには:『これ』

他ドアスイッチには:『その他』
 
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