篠原千晶(4)

文字数 929文字

「こ……この辺りの人達、避難し慣れてるね……」
「あぁ……ここ1年足らずで、とんでもない騒動が色々起きたらしいしな……」
 現場であるJR久留米駅に到着。どうやら、今年の3月に、ここで復旧に数ヶ月かかる大騒動が起きたらしい。
 そして、復旧工事が終った途端にコレだ。
 多数の河童が大型ハンマーを振り回しショットガンをブッ放している。
 甲羅にはかなりの防御力があるようで、ショットガンの弾は威力が有るスラッグ弾らしい。
 ハンマーも相手の甲羅の防御力を打ち破る為のものだろう。
 幸か不幸か一般人はほとんど居ない。
「じゃあ、やりますか」
 そう言って緋桜は……。
「えっ?」
 とんでもない気が緋桜の体に集る。
 私の元所属組織の幹部クラス数人分の「気」だ。
「いけえッ‼」
「何だ、これッ⁉」
 背後に緋桜の「使い魔」らしきモノが出現。
 軽トラぐらい……それも軽トラの中ではデカい方のヤツ……の大きさが有る……。
 えっと……。
 デフォルメされたティラノサウルスのような姿のが2つ。
 片方が気が弱そうな顔で、もう片方が恐そう系の顔。
 河童どもの中でも霊感が有りそうな奴らは流石に気付いたらしく……。
「あ……あれ……何?」
「へっ?」
 どうやら、俗に「妖怪」系と呼ばれてる連中でも霊感が有るとは限らないらしく、固まったり混乱してる同類を見て「何が起きてんだ?」的な表情(かお)をしている。早い話が、この使い魔達には実体が無いので、霊感が弱い奴は「何か変な感じがする」ぐらいで、こいつらの姿は見えない。
 いや、河童の表情から何を考えるか読めるのか? とツッコまれると、そう云う風に思える表情としか言えないが……。
 続いて、恐竜型の使い魔の口から、とんでもない量の「気」。
「終ったよ〜」
 周囲には気絶した河童の大群。
「駅の構内でも戦闘が行なわれてるみたいだから……ん?」
 ドゴオっ‼
 その時、駅の窓ガラスをブチ割って銀色のモノが落ちて……。
 いや……言い方がややこしい。
 落ちてきたモノは……英語にするなら複数形だ。
 組み合っている銀色の狼男が2人。
「な……何で、キミがここに居る⁉」
 緋桜が叫ぶ。
「あれ? 新人さんか? えっと……誉められた事じゃない。よくある親子喧嘩だ」
 狼男の片方がそう答えた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み