オンライン参観

文字数 623文字

わたしは仕事をオンラインで行なっている。
毎週日曜日にウクライナ人女性と話すのだが、仕事ともあって途中でWi-Fiが切れては困る。
そのため、おじいに頼んでその時間はWi-Fiのあるキッチンのテーブルを使わせてもらうことにしている。
今日も定刻前にせっせと準備していると、
「オンラインの人とは会ったことがあるのか?」
おじいが話しかけてきた。
「ううん、ないよ。オンライン上だけ。」
「この状況じゃなければ、会ってコーヒーでも飲んだりできるのにな。」
「そうなんだよね。残念。」
「時に、その人にちょっとあいさつでもしてみていいか?」
すごい、急で、なんとも自由な申し出である。
「ははは、もちろん!!いいよ!わたしのお父さんです、って紹介するよ。」
「はっはっは!それはいいな!!」
そう笑いながら髪を真剣に整えるおじい。

定刻となり、相手の女性に紹介したい人がいる、と伝えておじいを呼ぶと、
「はじめまして!この子の話はどうですか?」
「はじめまして。はい、とても良いですよ!」
これではまるで授業参観の父である。
「それはよかった!!今日も良い時間になることを祈ってます。」
そう言って、ババイと手を振りいなくなるおじい。
相手の女性に
「すみませんねえ。」
と伝えると、
「素敵ですね。」
と笑顔で返され、一安心。

実は謝りつつも、わたしはおじいが大好きなので、みんなに紹介したいしみんなに自慢したいのであった。
これからもおじいにはわたしの父として娘の頑張りを応援してもらうことにする。
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