ズッ友

文字数 1,170文字

先日、おじいのズッ友(5〜60年来の仲)が誕生日だったらしい。
おじいのズッ友についてはまた別で書くが、一言で言うとツンデレ。なお、今はデレのみ。
そんなズッ友とおじいの息子は毎週木曜日の夜にこのフラットに来て映画を観るのが恒例行事。

「ズッ友にさ、みかんじゃダメかな?」
と、みかんを食べる私を見てお姉さんが言う。
「それ、わたしも思いましたよ。結局チョコも買ってないし、プレゼントと言うプレゼントがない…。」
「うーん。私メッセージカードまだ持ってるけど、書く?」
「お!!あるんですか!いいですね、書きたい!!」

そんなわけでメッセージカードを書くことになったわたしとお姉さん。
するとおじいがそれを見て、
「君たちは本当に優しいね。」
「私たちズッ友のこと好きだからね〜」
「なに?!あれが好きなのか?!」
「「はははは」」
あれ、って!
「まあ、わたしも好きだけどな。」
と、おじい。かわいい。
長い長いズッ友だもんね。

「さて、何書こうかな…。書くことがないなあ。あなたの笑顔が好きです!くらいしか…。」
「あれは?旅行みんなで行こうね!は?」
これはお姉さんと私の中で勝手に計画しているみんなで仲良く国内旅行、の話である。
「いいですね〜!一緒に旅行に行きたいです。あなたとおじいとお姉さんと。」
「ズッ友、最近デレ多いからノリノリで来てくれそうだよね。」
「うん、そう思います。ははは」
そこまで来てあと一文。書くことがない。
「おじいと違ってズッ友との関係性って。」
「そうね、なんもないよね。」
「やっぱり、あなたの養子にしてください、がいいかなぁ。養子って英語でなんて言うんだろ。」
「いいと思う、それ。なんだろうね〜」
「あ〜、ズッ友に息子がいたらな。」
「かっこいいだろうね。きっと働かないけど。」
「働かないまで遺伝しちゃうんですかね?」
「うん、しちゃうんじゃない?」
「でもあの容姿はいいなぁ。あぁ、書くことがない〜〜。」
わたしとお姉さんの会話は、基本的に姉妹のどうでいい会話。本物の姉はいないけど、きっとこんな感じなんだろうな。
私の番が終わってパスすると、お姉さんもまた、
「書くことがない〜〜。」
と頭を悩ませている。失礼な姉妹である。

午後7時になり、息子登場。
次いでズッ友の登場。
「「ズッ友(の名前)〜!ハッピーバースデー!!」」
そう言ってカードを渡すと、
「なんて親切なレディ達なんだ…!ありがとう」
ズッ友とても感動してくれました。
その様子を見たおじい。すかさず、
「どうだ!うちのビューティフルな2人は!」
…全部持ってった。

楽しんでね!と言って部屋を出た私とお姉さんは、メッセージカードがうまくいったことと、先ほどの私たちを見て喜ぶおじいがなんだかおかしくて、ふたりでふふっと笑って、「では!」と、それぞれの部屋に入りました。
旅行みんなで行くのが今年の目標。叶うといいな。
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