第5話
文字数 1,659文字
ああ、しまった、は後の祭り。
駅を出てスマホで地図確認、わからないっ!!
方向音痴は昔から、治らない。
スマホを手のひらの上でグルグル回してやっとのこと、まずは出口を間違えてることに気づいてまた駅へと戻る。
金曜日の夜、実家からの電話で。
『あんた、今夜じゃなくて明日の朝なの? 帰ってくるの』
あ、と開いた予定表には土曜日実家で法事。
そして翌日昼間は会社の後輩とランチ。
やっちゃった!!!
連絡先交換しとくべきだった、ごめん、クロくん!!
罪滅ぼしのつもりで地元では貰って嬉しい稲城屋の煎餅と先程ランチした店で美味しそうに売られてたパンを土産にして。
クロくんの個展に駆け込んだのは日曜日の午後16時、閉館まで1時間しかなくなってた。
銀座でランチ後に、この後お茶しましょーとはしゃぐ後輩たちにゴメン、用事があってと吉祥寺まで急いできてからの迷子。
何かもう汗だくだしこんなんで会うの申し訳ないな、とやっとのこと辿り着いたギャラリー。
地下の小さな部屋でクロくんの個展が開かれていた。
いるかな? チラリと中を覗くと彼は見当たらない。
受付に名前を書いてから。
クロくんの世界観に入ってみた。
「すごっ」
思わず漏れる声。
プラネタリウム?!
広がる宇宙?!
まるで、一枚一枚の絵が繋がって大きな夜空のように見えてくる。
星座が輝いて見えるのはブラックライト?
天井まで貼られた絵をグルリと見回して。
飲み込まれてしまいそうなその世界観に見惚れたまま突っ立っていると。
「お気に召した絵はありましたか?」
と、声をかけられて我に帰る。
「あ、」
いつの間にいたのか、クロくんが後ろに立っていた。
「何か、すごいね、ゴメン。語彙力なくてうまく言えないんだけど壮大で、宇宙てこんななのかな?って」
「ありがとうございます」
嬉しそうにニコニコ全開なクロくん。
今日はベージュのコートに中に白いシャツきて黒い細身のパンツ姿、またまたオシャレ。
2度会って2度ともオシャレなら完璧オシャレさんだわ、うんうん、と妙な感心をしつつ。
クロくんに罪滅ぼしセットのお土産袋を押し付けた。
「差し入れ?!」
嬉しそうに中身を確認している。
「予定確認してなくて、昨日はおばあちゃんの法事があって地元帰ってて、今日は15時まで後輩たちとランチビュッフェの約束してて昨日来るって言ってたのに本当にごめんなさい、大分遅くなりました!!」
「あ、それで稲城屋の煎餅?! オレこれ好きッス」
「良かった」
ホッとしてクロくんを見たら。
「やっぱ来ないよなー、て」
「え?!」
「昨日来なかったから諦めてて、彩未センパイきっと忙しいんだろうなーて。だから今めっちゃ嬉しいです、来てくれてありがとうございます!!!」
「こっちこそ、本当ごめん。自分の予定把握できてないのに返事しちゃって。ごめんなさい」
ありがとう、ごめんなさい、こちらこそ、とお互いにペコペコしてから苦笑してそれからクロくんに案内してもらった。
「これ、チラシの」
「あ、これ?」
「そう」
キラキラと絵は止まっているのに降り注いでいるみたいで。
この絵が気になって来てみたんだ。
「流星みたいよね」
「!!! そーなんっすっ!!!」
やったー! とガッツポーズ取る彼は嬉しそうに。
「そのつもりで描いたから」
わかってくれたの彩未センパイだけかも、と。
「黒木さーん、ちょっといいですか、片付けのことなんですが」
このギャラリーの人なのかな、スーツ姿のおじさまが手招きしていて。
「センパイ、ちょっと、後ちょっとだけ閉館までいてくれませんか? すぐ戻るんで」
私の返事も待たずに走ってくクロくん。
閉館まで、あと少しだし、うん、もうちょっと見てたいし。
居ようかな。
居心地のいい空間だからだろう。
飽きることなく端から端まで見渡して3周目を始めた辺りでクロくんが戻ってきて。
「センパイ、ちょっとだけ付き合ってくれません?」
お願いします! と手を合わせる彼に、遅れて来た申し訳なさも相伴って素直に頷いてた。
駅を出てスマホで地図確認、わからないっ!!
方向音痴は昔から、治らない。
スマホを手のひらの上でグルグル回してやっとのこと、まずは出口を間違えてることに気づいてまた駅へと戻る。
金曜日の夜、実家からの電話で。
『あんた、今夜じゃなくて明日の朝なの? 帰ってくるの』
あ、と開いた予定表には土曜日実家で法事。
そして翌日昼間は会社の後輩とランチ。
やっちゃった!!!
連絡先交換しとくべきだった、ごめん、クロくん!!
罪滅ぼしのつもりで地元では貰って嬉しい稲城屋の煎餅と先程ランチした店で美味しそうに売られてたパンを土産にして。
クロくんの個展に駆け込んだのは日曜日の午後16時、閉館まで1時間しかなくなってた。
銀座でランチ後に、この後お茶しましょーとはしゃぐ後輩たちにゴメン、用事があってと吉祥寺まで急いできてからの迷子。
何かもう汗だくだしこんなんで会うの申し訳ないな、とやっとのこと辿り着いたギャラリー。
地下の小さな部屋でクロくんの個展が開かれていた。
いるかな? チラリと中を覗くと彼は見当たらない。
受付に名前を書いてから。
クロくんの世界観に入ってみた。
「すごっ」
思わず漏れる声。
プラネタリウム?!
広がる宇宙?!
まるで、一枚一枚の絵が繋がって大きな夜空のように見えてくる。
星座が輝いて見えるのはブラックライト?
天井まで貼られた絵をグルリと見回して。
飲み込まれてしまいそうなその世界観に見惚れたまま突っ立っていると。
「お気に召した絵はありましたか?」
と、声をかけられて我に帰る。
「あ、」
いつの間にいたのか、クロくんが後ろに立っていた。
「何か、すごいね、ゴメン。語彙力なくてうまく言えないんだけど壮大で、宇宙てこんななのかな?って」
「ありがとうございます」
嬉しそうにニコニコ全開なクロくん。
今日はベージュのコートに中に白いシャツきて黒い細身のパンツ姿、またまたオシャレ。
2度会って2度ともオシャレなら完璧オシャレさんだわ、うんうん、と妙な感心をしつつ。
クロくんに罪滅ぼしセットのお土産袋を押し付けた。
「差し入れ?!」
嬉しそうに中身を確認している。
「予定確認してなくて、昨日はおばあちゃんの法事があって地元帰ってて、今日は15時まで後輩たちとランチビュッフェの約束してて昨日来るって言ってたのに本当にごめんなさい、大分遅くなりました!!」
「あ、それで稲城屋の煎餅?! オレこれ好きッス」
「良かった」
ホッとしてクロくんを見たら。
「やっぱ来ないよなー、て」
「え?!」
「昨日来なかったから諦めてて、彩未センパイきっと忙しいんだろうなーて。だから今めっちゃ嬉しいです、来てくれてありがとうございます!!!」
「こっちこそ、本当ごめん。自分の予定把握できてないのに返事しちゃって。ごめんなさい」
ありがとう、ごめんなさい、こちらこそ、とお互いにペコペコしてから苦笑してそれからクロくんに案内してもらった。
「これ、チラシの」
「あ、これ?」
「そう」
キラキラと絵は止まっているのに降り注いでいるみたいで。
この絵が気になって来てみたんだ。
「流星みたいよね」
「!!! そーなんっすっ!!!」
やったー! とガッツポーズ取る彼は嬉しそうに。
「そのつもりで描いたから」
わかってくれたの彩未センパイだけかも、と。
「黒木さーん、ちょっといいですか、片付けのことなんですが」
このギャラリーの人なのかな、スーツ姿のおじさまが手招きしていて。
「センパイ、ちょっと、後ちょっとだけ閉館までいてくれませんか? すぐ戻るんで」
私の返事も待たずに走ってくクロくん。
閉館まで、あと少しだし、うん、もうちょっと見てたいし。
居ようかな。
居心地のいい空間だからだろう。
飽きることなく端から端まで見渡して3周目を始めた辺りでクロくんが戻ってきて。
「センパイ、ちょっとだけ付き合ってくれません?」
お願いします! と手を合わせる彼に、遅れて来た申し訳なさも相伴って素直に頷いてた。