第3話 女の子、男の子、女の子の後輩たち

文字数 770文字

「ユカリ先輩!」
「ユカリ先輩!」
 二人の女の子の綺麗にハモった声がユカリの足を止めた。ソプラノとメゾソプラノ。それは彼女の高校の合唱部の後輩のヒバリとミソラだった。
「ごめん、高校の後輩なの。ちょっと待っててくれる。」
 ユカリはヒロシにそう言って、小走りに後輩二人の元に行った。
部活の帰り?
ええ、そうです。コンクールも近いので。
先輩、その浴衣、凄く可愛いですね。
ありがとう。
先輩、彼氏ですか
ちょっとお、ミソラ。
幼馴染みだよ。小学校の時の同級生。中学生になる前に引越したんだけど、久しぶりに帰ってきたから。
ユカリ先輩の幼馴染みなんて、ついてますね。羨ましい。
どうだか。昔は、私が色々注意してたから、凄く嫌がってたけど。
絶対、良かったって思ってますよ。
先輩、私たち、ご挨拶してもいいですか?
…別に、いいけど。
きゃあ、ユカリ先輩の彼氏に挨拶するなんて緊張しちゃう。
だから、彼氏じゃないって。
大丈夫、任せておいてください。
 ミソラはユカリの横をするするとすり抜け、ヒバリの手を取ってヒロシがいる方に進んで行った。
ちょっと、ミソラ!
 ミソラはヒロシの前まで進むと、ペコリと頭を下げて、
こんばんは。
ああ、こんばんは。
私の合唱部の後輩なの。
 二人に追いついたユカリがヒロシに説明した。そして、ヒロシにヒバリとミソラを、後輩二人にヒロシを紹介した。
 二人は簡単な自己紹介をした後、
それでは。
それでは。
 別れ際に、二人はユカリのそばに近寄ってきて、ヒロシに聞かれないように小声でささやいた。
先輩、彼氏カッコいいですね。
ほんと。
大丈夫、このことは誰にも、
言いませんから。
言いませんから。
 絶対に明日、部活のみんなに知られるな、とユカリは遠ざかる二人の女子高生の背中を見ながらぼんやりと思った。
二人がカッコいいって言ってたよ。
ああ、それはどうも。
どういたしまして。
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登場人物紹介

ユカリ

18歳

女子高生

159cm

合唱部

好きな飲み物:ロイヤルミルクティー

ヒロシ

17歳

男子高生

179cm

柔道部

好きな飲み物:コーヒー

ユカリの母親

お祭りに行く途中で出会った男の子

お祭りに行く途中で出会った女の子

ヒバリ

ユカリの高校の合唱部の後輩

ソプラノのパートリーダー

ミソラ

ユカリの高校の合唱部の後輩

メゾソプラノのパートリーダー


燕尾服の男(黒猫)

ユカリ

10歳

ヒロシ

9歳

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