第7話 女の子、男の子

文字数 1,047文字

 2学期の終業式の日の帰り道、あの時はインフルエンザが流行っていて、ユカリちゃんも含めてクラスの半分くらいが休んでいたでしょ。
 いつも一緒に帰る友達もみんな休んでいて、その日の帰り道は一人だった。
 途中に公園のところを通った時、ほら、夏休みにラジオ体操をやったあの神社。
ヒロシ君
 声がした方を見ると、ひとりの男の人が神社の境内に立っていた。
 黒い服に、黒いシルクハットに、黒いステッキ、まるでマジシャンのようだった。
メリークリスマス。
 見たことがない人だったが、とりあえず僕は頭を下げてこんにちはと挨拶をした。
君のお話は面白いね。
 意外な話をされて僕は戸惑った。お話を作っているのを知っているのは、学校に登校するときの班のメンバーのユカリちゃんとセイジとヤヨイちゃん、それから同じクラスの何人かしか知らないはずだから。
いつも小学校に登校するときに君が班のメンバーにお話をしてあげているだろう。その話がとても面白いから、いつか君と話をしたいと思っていたんだよ。
 それはありがとうございます、と僕はお礼を言った。毎朝、聞いているなんて言われて、どう考えてもおかしいんだけれど、その時は何故だか気にならなくて、お話が面白いと言われたことが嬉しかったんだ。
面白いお話を聞かせてくれたお礼に願い事をひとつ叶えてあげよう。
 おかしな話だと思ったが、頭に浮かんだことをお願いしてみた。
了解、それでは、またいつか会いましょう。

 僕はさようならと言って神社を後にしたのさ。




変な話。
多分、あの男の人だと思うんだけど。
あんな格好をしている人は確かにそんなにいないわね。
うん、そう思う。
その時、あなたが何をお願いしたか当ててあげようか。
ああ、その時に頼んだこと?
どうせ、ゲームソフトが欲しい、でしょ。
もしクリスマスに両親からプレゼントされることが決まっていなかったから、そうお願いしたかもね。
なんだ。違うの。
何をお願いしたか教えようか。
何?
ユカリちゃんの風邪が早く治るようにって。
 ユカリは黙ってヒロシを見つめた。
 ヒロシも黙ってユカリを見つめた。
感動した?
なーんだ、嘘なの。
嘘ではないけど。さっき、お話してほしいというから、お話をしてみたんですけど。面白かった?
何なの、それ。結局、あの人は誰なの。
うーん、神社にいる変なマジシャンかな。
そのまんまじゃん。
謎は深まるばかりなのであった。
その言い方が面白く、思わずユカリは吹き出した。そしてしばらくクツクツと笑っていた。
雨、止んだね。
雨は止み、綺麗な月が顔を覗かせていた
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登場人物紹介

ユカリ

18歳

女子高生

159cm

合唱部

好きな飲み物:ロイヤルミルクティー

ヒロシ

17歳

男子高生

179cm

柔道部

好きな飲み物:コーヒー

ユカリの母親

お祭りに行く途中で出会った男の子

お祭りに行く途中で出会った女の子

ヒバリ

ユカリの高校の合唱部の後輩

ソプラノのパートリーダー

ミソラ

ユカリの高校の合唱部の後輩

メゾソプラノのパートリーダー


燕尾服の男(黒猫)

ユカリ

10歳

ヒロシ

9歳

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