第8話 女の子、男の子

文字数 607文字

 お祭りはまだ続いていたが、ヒロシの帰りの電車の時間もあり、二人はゆっくりとユカリの家の方に歩き出した。
はぐれないように手をつなぐよ。
 ユカリは黙ってヒロシの方に左手を出した。
 その左手を昔よりも随分大きくなった手がしっかりと握った。
 踏切を過ぎ、駅も過ぎると人波はなくなったが、ヒロシはそのままユカリの手を握り続けた。ユカリも何も言わず、ヒロシの大きな手を握り続けた。
家まで送るよ。
電車の時間は大丈夫?
うん、もう少し大丈夫。
うん。
 ユカリはうなずいて、嬉しくなって握った手を大きく振った。
 それに合わせてヒロシも腕を振ったので、ユカリは少し体勢を崩して前のめりになった。そんな彼女をヒロシは倒れないように支えて、
ごめん、ごめん。大丈夫。
うん、平気、平気。
えっと。その浴衣よく似合ってるね。
へえ、そんなこと言うようになったんだ。
結構、勇気を出して頑張って言ってみたんだけど。ダメだった?
別にダメじゃないけど。帰り道に言うよりも行くときに言ってくれればよかったのに。
そうだね。そうすれば良かった。ちょっと緊張していたからなあ。
ありがとう。
どういたしまして。
 図書館の前を通るとき、ヒロシがこう言った。
そういえば、この図書館にもちょっと不思議な話があるよ。
どんな話?
ある女子高生がある本を通じて、ある人と出会って不思議な体験を…。
聞いてあげるから、話して。
それは夏休みの図書館でのこと。
 ヒロシは嬉しそうに話し出した。
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登場人物紹介

ユカリ

18歳

女子高生

159cm

合唱部

好きな飲み物:ロイヤルミルクティー

ヒロシ

17歳

男子高生

179cm

柔道部

好きな飲み物:コーヒー

ユカリの母親

お祭りに行く途中で出会った男の子

お祭りに行く途中で出会った女の子

ヒバリ

ユカリの高校の合唱部の後輩

ソプラノのパートリーダー

ミソラ

ユカリの高校の合唱部の後輩

メゾソプラノのパートリーダー


燕尾服の男(黒猫)

ユカリ

10歳

ヒロシ

9歳

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